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インターネット

無名サイトのつづき

レンタカーで車を借りに行く男達 -実録変なレンタカーを借りに行く3-

特に誰かから望まれているわけでもないのに地味に連載化されている変なレンタカーシリーズもとうとう第三弾である。実際はここに書いてないだけで変なレンタカー借りてきたのは三度どころではないのだが、最新版となる今回は特に意味の分からない行程だったのでせっかくなのでここに書き残しておく。

話の始まりは数日前、知人から「富士スピードウェイでは本コースを体験走行出来るらしい」という話を教えてもらったことから始まる。

これまで知らなかったのだが、改めて調べてみるとレース等が行われている合間の時間帯で車両持ち込みでの走行が可能になっており、またトヨタ G'z車両を貸し出しての走行も出来るようになっていた。そしてどちらも2,100円である。あの国際格式のサーキットを先導付きの体験走行とはいえ、3周走れて2,100円なのだ。観客として見に行ったことはあるし、ゲームで走ったこともあるが、あの景色が体験出来て2,100円は格安なのではないかと気分はにわかに盛り上がった。

しかし、これらの体験走行は何らかのレースが開催されていれば当然そちらが優先されるので多くは平日に開催されており、また予約は不要ながら開始時間は12:00からと予め指定されている。ひょっとしてこれは参加の難易度が高いのでは……と思ったが、運良くその週の土曜日は開催日となっていたので勢いのままに行ってみることにした。

さて、ここで問題になるのが現地までの足である。当然家に車があるんだからそれでいいと思っていたのだがせっかくだから他の車に乗りたいといういつもの理由により、車を借りていくことにした。出来ればS660が良かったのだが、直前予約ということもあり予約が取れなかったのでコペンにしたコペンは以前も借りたことがあるのだが、神奈川県内には複数配備されているようで近所の店舗でも借りられるようになっていたことと、何よりS660よりも安いのがいいところである。

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ちなみに前回借りた時はローブだったが現在配備されているのはエクスプレイの方のようだ。写真は前回借りた時のもの。(2014年11月)

と、いうわけで当日朝、言い出しっぺの知人と合流しレンタカー屋でコペンを引き取る。借りたのは白/黒ツートンカラーのエクスプレイで、前回のシルバーのローブに比べると、言っちゃ何だがパトカーかパンダのような配色である。流石に男二人で乗ると先日のロードスターよりも狭いが、携帯や飲み物を置くスペースはあるのでドライブには苦にならない。最近自分の中で車の利便性に対する評価基準が著しく低下している気がするが、たぶんこういう車ばっかり乗ってるからだと思う。

早速オープンにして走り出す。幸いにして天気はこれ以上ない快晴で、逆に少し暑いくらいである。日焼け止めと帽子を持ってこなかったことを若干後悔しつつも富士スピードウェイを目指す。途中高速が事故で渋滞になっているとの情報を掴んだので、東名ではなくR246を使うことにしてヤビツ峠に立ち寄った。

休日のヤビツ峠は(特に秦野側の表ヤビツは)チャリ勢が非常に多く、またバスも通っていることから気を使うのだが、流す程度のスピードで駆け抜けるには大変気持ちの良い道である。展望台まで駆け上がって折り返したが、やはり自分の手の中に入るサイズとスピードという面では「軽でいい」し「軽がいい」のかなという感想を抱いた。FFということもあってか飛ばしすぎなければあまり変な挙動も起きないので、グイグイ曲がっていくことが出来る。前回借りたロードスターのようなアクセルオンで意図的にリアを巻き込んで遊びたくなるクイックな感じともまた違う乗り味である。

麓に戻っても高速は未だにダメそうということもあって、再びR246をそのまま進む。排気音は思ったよりも野太くてキャラクターには合ってるのか疑問もあるが、バイパスの巡航を無難にこなす。そうこうしてる間に少しの余裕を残して富士スピードウェイに到着。ここに来るのは昨年のWEC以来だが、今日は特にレースが行われていない日なので静かなものである。入場料1000円を払って場内へ。

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今日のレンタカーPart1。レースウィークではないのでこのような記念撮影も出来る。(ゲートは端にあるものしか開いていないので) それにしても天気がいい日だった。

さて、最初に述べた通り車持ち込みでコースを走ることが出来るのだが、残念ながらオープンカーは安全上の問題があるためロールバー装備でないとたとえ体験走行であっても走行は認められていない。つまり、ここまでレンタカーで来ておいて何だが更に車を借りる必要があるのだ。

なら最初っから家の車でそのまま来いよという話なのだが、持ち込み走行とG'z車両のレンタルでの走行はどちらも2,100円で、ならば借りた方がオトクという論法も成立するわけである。コペンの代金については取り急ぎ無視するものとする。

おそらくこの価格設定にはトヨタとしても価格差分を負担してでもモータースポーツに触れてもらいたいし、自社製品に触れてもらいたいという思いも込められているのだと思われる。もちろん消費者側から見れば結果安価に楽しめるのだし、普段試せない車に乗れるのだから良いことずくめである。

借りられる車両はいくつかあるのだが、今回は延々悩んだ末でマークX G'zを選んだ。MT車ヴィッツ G'zだけで他は全部ATなので、こういう時こそMT車という選択もあったのだが、こういうスローペースの体験走行では下手すれば3速入れっぱなしになってしまいMT選ぶ意味がなくなってしまうのではと思ってやめてしまった。実際は後述するようにどうもそうでもなかったようなのだが……。ちなみに知人はアクア G'zをセレクトした。

f:id:seek_3511:20160618114931j:plain今日のレンタカーPart2。400万以上する高級車だけあって流石に端々の作りがいい。ノーマルを知らないのでチューニングによる差異はわからないが、こうした場所で走るにも十分な車なんだなーと思った次第。

……開始時間が近付くと続々体験走行の車が集まってきた。だいたい一般車が20台くらい、レンタル車両4-5台+数台の二輪でトータル30台弱くらいでの走行になるようだ。先頭には当然先導車が付くのでスピード出し放題というわけではないが、これから走るのはまぎれもない国際格式のサーキット、富士スピードウェイの本コースである。

一般車、レンタル車両、二輪の順にコースインしてあとは前の車に着いていくことになる。ピットロードから加速して本コースに出た瞬間は「ゲームで見た景色だ!」と感動してしまった。ちなみに体験走行ということでペースはどんなもんなのかなと思っていたのだが、前走車を追い越さない程度のスピードは出せるのでシケインではスローダウンするしストレートでは100km/hを越えるくらいまで加速することが出来る。これならMT車でも良かったかなと思ったがもう後の祭りだった。(マークXではパワーがあるのでほぼ2-3速に入れておくだけで済んでしまう……)

前後の車があるので当然抜いたり抜かされたりするわけにはいかないが、その枠の中でアウトインアウトでコース幅を目一杯に使って走ってみれば実際にサーキットを走っているんだという感慨がふつふつと湧いてくる。意外に狭く感じたり、ゲームで感じたアップダウンなんかもいちいち新鮮だし、撮影しに来た時に各スポットでカメラを構えていたことを思い出しながら今はこちら側(?)であることが誇らしかったりする。そうこうしているうちに三周の周回はあっという間に終わってしまった。とても楽しかったので次は自分の車で来てみようと心に決めたのだった。

さて、せっかくなのでもう少し遊んでいくことにする。富士スピードウェイ内には本コース以外にもショートコースやカートコースなどがあり、カートは7周1,500円で借りられるということでそれも乗ってくことにした。ちなみにこの値段、普段会社の有志でやっている県内某所でのカート大会(同程度のコース長で練習走行含めて15~20周・参加費5,000円くらい)に比べても安い。

f:id:seek_3511:20160618124018j:plain今日のレンタカーPart3。車としてはこれ以上ないくらいシンプルなもの。

初見のコースなのでギリギリを攻めるわけにもいかず抑えめに走ったのもあるのだろうが、以前走ったことのあるカートコースのカートよりも扱いやすくて拍子抜けした。普段乗ってるカートはハンドル真っ直ぐでブレーキを踏まないとすぐスピンするし、ブレーキも考え無しに踏むとすぐロックするので非常に気を使うのだ。見た感じ仕組みは一緒に思えるのだが、謎である。

その後は30度バンクを見学したりしてから飯を食いに行き、再びコペンで箱根を越えてのんびりと一般道を使って帰ってきた。この日の気温は30度を越えていたが、箱根は標高が高いせいか涼しくてやはりオープンカーにはちょうど良い感じであった。トータルでは総行程150km行かないくらいのショートツーリングであったが燃費はメーター読みで16.4km/lと優秀で、ちょっとコペンがうらやましくなった。

……このレンタカーを借りるシリーズも段々ひねくれてきて、とうとう家に車あるのにレンタカーを借りて更に行った先で別の車を借りて走るというメタ的な領域にまで到達してしまったが、これはこれで大変面白かった。レンタカー云々はともかくとしても、サーキットでこうした体験走行が出来るというのはあまり周知されていない気がするし、とかく敷居が高くなりがちモータースポーツに初めて触れるという意味でも面白いのではないかなと思うのである。

もちろんこれを体験してからは、一度くらいは先導無しのフリー走行がしてみたいと思うのも自然な流れなわけで、帰ってきてからその辺りを調べ始めている自分がいたりするという……。

なにをいまさらDSC-RX10

私事ではあるが、ゴールデンウィークは友人と九州に行ってきた。

例の地震の直後だったので一時は中止も考えたのだが、もともと(珍しく)宿も飛行機もキッチリと取ってしまった後だったので結局そのまま行くことになり、結果としてその決断は正解だったと胸を張って言える程に楽しんできた。というか、行く先行く先ゴールデンウィークとは思えない人出の少なさでとても快適だった。だが、それはつまりキャンセルをした人も多いということなので、そういう意味では内心複雑だったのも確かである。

で、旅行自体は良かったのだが、最近は旅行に行くたびに持っていくカメラを何にするのかで迷っている。一人旅で写真を最優先しても文句を言われないのであればそれこそ一眼レフでも中判でも何でも持っていくのだが、友人達と一緒であれば写真を最優先にするというのは少し気が引ける。第一重すぎて持ち歩くのが億劫である。

一昨年の北海道旅行の時もそういうことを感じて中古で当時安かったPowerShot G1Xを買う寸前まで行ったのだが、結局α900を持っていくことになり機材の重さに耐えた結果として素晴らしいカットを納めることが出来た。しかしまぁ、北海道は正直別格である。今回はそこまで気合いの入った旅ではない。

というわけで、今回は写りと可搬性のバランスを考えてボディはα900をやめてα7にした。ここまでは良かったのだが、レンズはというとそういえばEマウントどころかAマウントでも便利ズームを持っていなかった。結局24-70/2.8ZAとアダプターという形になり、可搬性の面ではだいぶ課題が残った。

かといってGR一本勝負というのは、それはそれで旅写真のひとつのスタイルとして憧れるが旅先という未知の地平に対し、人間そこまで思い切りよくはなれない。

かくして、さほど必要でもないかもしれないニッチな「旅行用のカメラ」というのが気になり始めた。それなりに画質がよくて、それなりに取り回しがよくて、それなりにズーム出来るカメラが足りていないのだ。逆に言うとそこから取り回しを諦めればα900大三元を持っていくし、ズームを諦めるならGRで済む。どちらもほんの少しの我慢である。そうした小さな我慢をするだけで不要になるかもしれない、そんな程度のニーズだった。

しかしこのニーズ、防湿庫に中判からコンパクトデジカメまで取り揃えている割には確かにエアポケットであった。先述の通りAマウントもEマウントも便利ズームは持っていないし、コンパクトカメラはGRなのでどうしても諦めるものが出てくる。というわけで選択肢はだいたい3つくらいに絞られた。

1.Aマウント用にタムロン 28-300mm F3.5-6.3 Di PZDを買う
2.Eマウント用にソニー FE 24-240mm 3.5-6.3 OSSを買う
3.それなりのズームコンデジを買う

とりあえず価格の順で言えばモノにもよるが3→1→2の順に高価であろうか。ズームコンデジを買うと言ってもやっぱり現行で言えばRX100mk3とかその辺になるんだろうなーとぼんやり考えていたので、その辺で行くとやっぱり最低でも5万くらいは用意しないといけない感じである。さっきも言ったようにニッチな需要なのだが、出す金額としてはなかなかヘビーである。

そんな中、それまでは全くノーマークで「一体これを欲しがるのはどういう層なのだろう」とすら思っていた初代DSC-RX10がmk2へのモデルチェンジでそれなりに安価になっていることに気が付いた。ヨドバシやビックの展示落ちアウトレットで6万円を切っており、出始めの値段からは約半額である。

そして、当初は中途半端に思えたスペックも、よく考えるとそう悪くない。また、通り一遍の新製品レビューではやはり中途半端さを指摘されながらも、購入者のレビューでは不思議と好意的な意見が目に付くのも気になるところだ。しかし、そうであっても6万円は大金である。元々たいした根拠もなく欲しがっているものなのだし、もう少しすれば物欲も自然に収まるだろうと、そう思っていた。

 

……そうしたら突然、展示品落ちながら4万円を切る出物が出てたので、気が付いたら買っていた。

 

  ──うん、「また」なんだ。済まない。
  仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

  でも、この記事タイトルを見たとき、
  君は、きっと言葉では言い表せない
  「またかよ」みたいなものを感じてくれたと思う。

  殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
  そう思って、この記事を書いたんだ。

  じゃあ、本文に戻ろうか。

 

閑話休題

 

それこそ何度も書いているが、このサイトでカメラやレンズが増えるのは全て「安かったから」が理由である。それ以上でもそれ以下でもない。そして今回も、である。

冗談はさておき、一度気になりだしてから考えれば考えるほどこれこそが要求スペックに近いカメラなのではないかという思いが高まっていた。

RX100などに比べて大柄だと思っていたボディは撮像素子サイズとズーム比と明るさを考えれば許容範囲だし、もちろんα7にAマウントレンズよりはマシ。それでいて焦点距離設定は絶妙なラインである。α7に24-70を付けた時も感じていたがテレ端70ではちょっと物足りない。RX100系の70ないし100mm相当ではきっと不満を覚えるだろうことを考えれば、200mm相当は魅力的である。一方テレ端がもっと長いカメラもあるが、当然サイズは大きくなるし、旅行だと400や600mm相当が必須というわけでもない。個人的には旅行スナップ程度の用途で望遠レンズ的な画面効果を使うのなら135~150mm相当もあれば十分ではないかと考えている。

そして元値が元値だけに作りのいい金属ボディだし、しっかりしたグリップとキチンと使えるEVF、絞りリングの他はα7とほとんど変わらない操作インターフェース、そしてストロボや電池がα7と共用出来てUSB充電まで可能と、一つのカメラで旅行を完結させるには最適なスペックだと感じるようになった。もちろん、絶対的なボディサイズはそれなりにあるのでポケットに入らないとイヤだとかそういうことは考えられるが、そんなときはGRを使えばいいだけのことである。

というわけで、最近は外出する時少しでも余裕があればカバンに突っ込むことにしているのだが、今のところ使い込んだと言える程触ってはいない。また、残念ながら泊まりの旅行というのにも行けていない。その上での現時点での感想について書いてみたい。

このカメラに購入前に抱いていた「一体誰をターゲットにしたカメラなのか?」というのは実際に自分が買った今でもたまに感じることがある。先述の通り旅カメラとしての意義は感じるが、かといってそこだけを狙ったカメラというわけでもなく、ある意味でRXシリーズの枠の中ですら立ち位置の説明が難しい機種だと感じる。

究極の一台として取捨選択を経て研ぎ澄まされたRX1系、あるいはメモ用途から一眼レフのスーパーサブまでこなす万能カメラとしてのRX100系に比べると、悪く言えば「何でも出来るがどれも中途半端」なスペックなのだ。そしてそれは、ライバルであるLUMIX FZ1000やPowerShot G3Xに対抗してテレ端600mmを誇る望遠番長、RX10mk3が生まれた時点で余計に強調されてしまった。

だがしかし、それでもこのスペックがウェルバランス──つまり均衡が取れている──状態であるというのも感じる。それを感じるシーンの一つが、先に述べた旅カメラなのである。

話は変わるが、今マツダの販売店で1日試乗キャンペーンというのをやっていて、つい最近有給を使ってND型のロードスターを1日乗り回してきた。以前レンタカーでNB型に少し乗ったことはあるが、ND型はもちろん初めてである。

せっかくのレンタルだし何処に行こうか迷った結果、結局埼玉の山奥に行って峠道を何往復かして遊んできたのだが、その時にもRX10を持っていった。そして車に乗ったりカメラを構えたりしている中で再度「ウェルバランス」というものに思いが至った。

ロードスターも結局のところ(屋根が開くという特殊性はあれど)スペックからすれば必ずしも尖ったところのない車である。まぎれもないスポーツカーだが、わかりやすく500馬力あるとか、300km/h出るとか、そういう車ではない。

しかし、作り手側がバランスを追求したであろうことは少し乗っただけでも理解出来る。少なくとも素人が公道を流すくらいからちょっとハイペースで駆けるくらいまでにおいては大変よく出来た車である。実際のところ絶対的に速い車はもっとあると思うが、いろいろな意味で手を伸ばしさえすれば手の届く範囲の車だと思うし、尖ったスペックで勝負しているわけではないが、十分に魅力的である。

とはいえ、例えば歴代最小排気量のエンジンなんかを指してモアパワーを望む声もあるし、この尖ったスペックのないバランスというのは見方を変えれば「中途半端」とも取られてしまう危険がある。しかし、分かっていてもそうはしていない。

つまり、分かりやすく目を引きやすいスペックがいろいろある中で、敢えてそれらを中途半端に留めてその中でバランスを追うというのは、実は難易度の高い行為なのではないかと思うのである。

RX10というカメラが、果たしてロードスターのようなバランスを突き詰めた末の成果物なのかどうか。それは正直なところ判断を下せるほど使い込んでいないのでまだ分からない。そしてもちろん、旅行用カメラという当初の用途に合致するかどうかもまだまだこれからの結果次第である。

しかし、そうしたバランスに挑む心意気みたいなものは確かに感じたし、だからこそ購入した人からはあまり悪い評判が聞こえてこないのだとも思う。

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ルノーで日産を見に行く男達 -実録変なレンタカーを借りに行く2-

昨年、ポルシェを知人と借りてみたはいいがやることがないので千葉までラーメンを喰いに行くという記事を書いた。

実のところ、あの記事以降も相変わらず変なレンタカーを探して乗ることに情熱を燃やしており、特に記事にはしていなかったがコペンであったりゴルフのカブリオレのレンタカーを探しては乗り回したりしていた。

さて、そんな中で前回同行した知人から日産座間の一般公開があるので行きませんかとのお誘いがあった。こういうメーカー工場併設施設の公開というのはたいてい平日しか受け付けていないので、平日有給取るのもかなりハードル高いなーと思っていたら、どうやら季節によっては土日も公開しているらしく、上手く土日の公開の予約を取ることが出来たのだ。

……と、それだけならば普通に電車で行って南林間駅辺りに集合すればよいだけの話なのだが、せっかくなのでということで何か車を借りていくことにした。自家用車使えよと言われればまったくその通りなのだが、実のところこんな時にふさわしい車の心当たりがあったのだ。

以前の記事には書いていないが、実は神奈川県内のオリックスレンタカーはたまにマニアックな車種をキャンペーンカーとして格安で貸してくれることがある。冒頭に書いたコペンなんかもそうであるし、現在はS660なんかも始めたようである。

この中に、現行のルノー ルーテシアを貸してくれるというキャンペーンがあり、発着店が小田原に限られるものの、なんと12時間借りてキャンペーン価格5,832円である。これはフィットとかの国産リッターカークラスを借りるよりも安いのだ。

借りられるグレードは1.2 ZENという普通のグレードで、当然のごとくスポーツグレードのRSやらGTではないのだが、これは欧州コンパクトカーはベーシックグレードで味わうのがよいというどっかのガイシャびいきの雑誌の言を信じることとする。というか、外車自体数える程しか乗ったことがないし、ましてフランス車は初めてである。

というわけで、朝イチ小田原で車を借りて箱根辺りを流したあとに座間までドライブし、また小田原に戻るという行程ができあがった。座間に行く為に箱根を経由するのだから、自分で考えておいて何だがトチ狂った行程である。

そして当日朝、時間通りに店舗に向かい真っ赤なルーテシアを受け取ると同時にアレコレ説明を受ける。ハンドルは右だがウィンカーは左、これはやっぱり仕方ない。んで、書き忘れていたが今回の車はDCT車で、実のところDCT車ってどうなのという興味がこれに目を付けた理由である。室内全体の雰囲気としては思ったほど国産コンパクトと変わるところがない。違和感があるのはスロットに差し込んで使用するカード型のキーレスくらいのものである。そんなわけで知人を駅で拾って、取り急ぎは箱根の山を登ってみることにする。

さて、コンパクトカーというととりあえず自分の中のベンチマークは以前乗ってたコルトラリーアートであるが、アレに比べるとだいぶワイド&ローだがボディがデカいというほどではない。

また、どちらもターボ車であるが、コルトは1.5Lのどちらかというとハイパワー指向のターボ、そしてルーテシアは今をときめくダウンサイジングターボという性格である。それでも118psあるのでそこらの国産コンパクトカーよりはパワフルというのは今さっき諸元を調べていて初めて知った。正直乗ってる時はコルトほどのパワー感はなかったのだ。

それでも、箱根新道の追い越し車線でアクセルを踏んでいくと必要十分程度のパワーは出る。このパワーはこれ以下だとかったるく、これ以上はいらないかもしれないという絶妙なところである。というわけで大観山ドライブインまで行ってみたのだが、残念ながら現地は視界十数メートルの霧模様。いつもであれば居るはずのスポーツカーの姿も心なしか少ない。というか駐車場の車の中からその先にある筈のドライブインの建物が見えない。

こんな視界では当然ドライブどころではないので、軽く流したら早々に退散。当初の予定では椿ラインに抜けたり芦ノ湖スカイラインに行ったりする予定だったのだが、ターンパイクの上側がこれではどちらに向かってもダメそうだということで、長尾峠から御殿場方面に抜けてR246で座間を目指すことにする。

途中、長尾峠近辺では多少霧もマシになったので少し早めのペースで流してみたが、正直このくらいの出力の車を少し高めの回転数を保って流すのは非常に面白いと感じた。ハンドリングは素直だし、スポーツカー的ではないがかといって退屈でもない。やっぱりこの辺りは多少なりとも国産コンパクトカーとの違いを感じるところであった。

ただし、DCTは思ったほどのダイレクト感ではなく、あくまでもジェントルめのセッティングのようだった。また、室内で手に触れるインターフェースはあくまでもATのそれなので、DCTという言葉から想像されるようなクラッチなしのMTを操っている「スポーティーな」感覚はない。感触としてはマニュアルモード付きのATやCVTとほとんど同じである。

ただ、R246をDモードで流している時にはその特徴はいい方に作用しているなと感じた。正直なところMTベースATということもあってシフトショックに身構えていたのだが、普通に市街地を流す分にはとってもフツーのAT車である。これにはちょっと拍子抜けしてしまった。ただし、国産オートマ車と感覚が異なる点というのはやはりある。

一つはクリープで、あるにはあるのだが、非常に動き出しが遅い。このため、渋滞追随などには非常に使いづらい。もう一つはこれもごく低速での動き出し~低速キープ時の挙動で、渋滞時のノロノロ運転などではギアを決めかねたり、苦しそうな素振りを見せる。流石にこれは、日本にはDCTって向いてないのかもねと思わせる挙動であった。

そうこうしているうちに日産座間工場へと到着。無料で構内の駐車場に止めさせてもらえるので、誘導に従って中へ入るとすでに駐車場は数台分埋まっていた。わざわざこのためにルノー車で来るような連中のことはさておき、駐車場を見る限りでは必ずしも現行の日産車ユーザーばかりが来ているというわけでもないようだった。

館内へと案内されると簡単な案内ビデオのあと、いよいよ保管庫内へ。最初のうちはお姉さんが各車について解説してくれるが、収蔵台数およそ300台ということもあって、全台数を解説していては日が暮れてしまうため要所を押さえながらテンポよく進行していく。特にメーカーでないと残せないであろうイベント関係の車両などが充実しているのは素晴らしいところだ。また、解説を飛ばされた車両についてもほぼすべて解説プレートが付いているので非常に親切である。

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どのくらいの台数あるかというと、このパノラマ写真だけで一列分である。これが複数列ある。大まかに言って市販車ゾーンとレースカーゾーンに分かれており、市販車ゾーンはこの通りダットサンの時代から揃っている。このクラスになるとそれこそ博物館級であり、街で自走している姿は全く期待できないレベルの車両たちだ。

なお、これだけ貴重な車の数々なのでよく見るとところどころ車列から抜けており、これは世界各地のイベントやディーラーなどに貸出されているとのことである。訪問日はハコスカGT-Rなどが不在であった。故にもし全台数を見たければ複数回訪問しないとコンプリート出来ないわけであるが、そもそもこの台数だと一日だけではとてもではないがじっくり見ることは出来ない。

お姉さんの解説もそこそこにあとはフリー見学タイムとなったのだが、ここで素晴らしいのは手を触れなければ見学時の立ち位置は自由で、それこそ顔が映るほど近寄ってじっくりと観察したり、自分なりのアングルで写真を撮影することが出来る。華々しいレースカーもあれば渋いチョイスもあり、お姉さんの話では、一台を見るだけで自由時間を使い切ってしまった人もいるくらいだそうだ。きっとその人にとって思い入れのある一台だったのだろう。

というわけで、全部写真を撮るというのはとてもじゃないが無理であった。その台数に圧倒されて「へー」とか「ほえー」とか言いながら眺めてくるのがやっとである。

そんな中でも、何枚か写真を撮ってきたのでそれを掲載しておく。

ちなみに、観覧後のアンケートの自由記入欄でリクエストがあれば導入車両については随時検討してくれるそうである。最近ではそうしたリクエストからレストアされたばかりのダットサンベビーが導入されたそうである。

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クリスプカットの初代シルビア。ちなみに白色の個体とこのグリーンの個体と二台置いてあったが、やはり初代シルビアというと個人的にはこのグリーンの印象が強い。

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もちろんR380も置いてある。流麗なボディラインはこの時代のクローズドのレースカーならではのものである。時代はこのあとクサビ形のスタイルと巨大なウィングの二座席オープンへと繋がっていく。

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今はなき横河ヒューレット・パッカードのロゴも懐かしいCカー軍団。ルマンカーということで、この並びには公認のためだけに作られたGT-R LMロードカーや R390ロードカーも並べられている。すぐ近くにZ32も置いてあるので「本当にR390のヘッドライトはZからの流用なのか」を確かめるといったマニアックな楽しみ方も可能である(確かめた)。

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そして各世代のGT-R。この辺りはよく銀座ギャラリーや本社ギャラリーに貸し出されていることも多いが、世代ごとに見られるというのはやはりこの施設の素晴らしい点である。しまいには多すぎて有り難みがないとか罰当たりなことを言っていた覚えがある。

かように、写真を撮っているだけでもあっという間で、後ろ髪を引かれつつも時間切れであえなく終了となった。

言ってしまえば倉庫内に車が並べてあるだけなのだが、ある程度車に興味がある人間であれば、それこそが素晴らしいというのは共感してもらえると思う。土日公開の月は少ないとはいえ、平日も含めればかなりの頻度で公開されているので車好きであれば行って損はないだろう。運が良ければ搬出に立ち会えたり、一部の日程ではドアを開けてくれる日も用意されているらしい。

これが博物館であると入場料を取られるのはいいとしても、絶対に触れない展示台や柵などに囲われてしまうことになるし、この展示密度はそんじょそこらの博物館では勝てないレベルである。不満があるとすればただ一点、見学の時間が足りなすぎる、これだけである。願わくば、ずっとこの自由度の高い公開方法を続けて欲しいところだ。

というわけで、一切ルノー車で行く意味は無かったが大満足の座間記念庫見学であった。車好きにはホントにオススメ。

業務用スキャナを使う2 -PFU fi-6140での雑誌スキャン-

というわけで、性能の割に安価に手に入る業務用スキャナ、PFU fiシリーズを使って自炊をしてみようという話の続きである。今回は主に、実際の雑誌スキャン時のワークフローについて書いてみることとする。いまのところ(写真工業以外も含めて)雑誌を300冊程度あれこれスキャンした結果に基づいている。

前回も述べた通り、現在の主要な用途というのはちょっと古くて電子書籍にはなりそうもない各種カメラ雑誌の電子化というところにある。これはこのサイトの記事を書く際の参考資料になったりもするので、PCでの閲覧及びタブレット端末での閲覧といったところを想定している。

解像度はなるべく高解像度でスキャンしておきたいのだが、あまり読み取りが遅くならない実用的なバランスを考えて300dpiとしている。4kディスプレイやタブレット端末の高解像度化が進むであろう事は分かりきっているので悩みどころではあるが、600dpiにすると露骨にスキャン速度が落ちるのと、現時点においてフルHD解像度程度のデバイスを多用するのであればここらが落としどころではないかと思われる。

また、閲覧デバイスは基本的にカラーなので読み取りもカラーで行っている。カラーのものをモノクロに変換することは可能だが逆は出来ないのでもし今後e-inkデバイス等で見るのであればその都度変換するつもりである。

さて、仕様も決まりいざ読み取りといったところだが、fiシリーズはScanSnapとは異なりTwainないしISISドライバを使用する汎用スキャナとして動作する。また、標準ソフトとして用意されているScandAll PROの使い勝手もScanSnapシリーズのソフトとは大きく異なるところである。最初はこの辺りが非常に取っ付きづらく、手探りで使用していたがなんとなくわかって来たので解説してみる。

なお、PFUはfi-6140等に使用出来るScandAll PROの旧バージョンの提供を打ち切ってしまったが、今のところ海外サイトを回れば入手自体は可能なようである。TWAINが使えるとはいえ、標準ソフトでスキャンする方が楽なので入手方法については各自検索などして欲しい。

fiシリーズ用のScandAll PROは非常駐タイプのソフトとなり、スキャンするごとに呼び出す方式である。業務用ソフトらしく出来ることは多いがあまりコンシューマ向けとは言いがたいインターフェースなので、ScanSnapでボタン一発に慣れていると非常に扱いづらく感じてしまう。というわけで、以下ScandALL PRO Ver1.8の操作解説を行う。すでに配布されていない業務用ソフトの解説の時点でニーズが行方不明であるが気にせず進めることとする。

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さて、雑誌等のスキャンを大量にこなす上でのキモはバッチスキャン(連続スキャン)用のプロファイルを作ってしまうことで、これさえ作っておけばあとはこれを改変したり、一発ボタンに登録してScanSnap的に活用することも可能になる。

「スキャン」→「バッチスキャンの設定」に移るとこのような画面に遷移する。これはすでにいくつかプロファイルを作成済だが、ゼロからの作成は流石にしんどいので各種プリセットも用意されているので、用途に近いものをコピーして改変していくといいだろう。

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ここでは書籍スキャン用に作成したプロファイルを例として公開してみる。このプロファイルを使用してあとはひたすらにスキャンをかけていくというのが基本的な使い方である。このプロファイルを弄れる範囲が非常に多いが故に、かえって取っ付きづらく感じるのであるが、しかしただスキャンしたいだけであれば何カ所か変更すればそれでOKだったりもする。

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これらをプルダウンで切り替えて使用することも出来るので、プロファイル名は分かりやすい物を付けておこう。また解説コメントも自分で入力出来るので、変更した内容をきちんと記入しておくと便利である。こういうところにまで手を加えられるのが業務用ソフトのいいところだろうか。

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スキャンソフトだけを考えればいいScanSnapと違ってスキャナ本体の設定は別途本体用ドライバを用いる。この辺りもわかりにくくなる要因であるが、その分柔軟な運用が可能である。

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基本的な保存等はこちらで出来る。カラーモノクロ同時出力や振り分け出力など、業務ユースでは便利であろう機能はとりあえずここでは使わない。PDF圧縮率や検索可能PDFへの設定はここの「PDFオプション」にて行う。取り急ぎ写真誌がメインなので圧縮率は低めの2、テキスト認識は非常に時間がかかる為表紙のみの設定にして別途ScanSnap Organizerにやらせている。

実際のところ、スキャンの主な設定はこれだけである。あとはハードウェアとしてのスキャナ設定が別にあるので、そちらはTWAINドライバ側で設定する。先の「ドライバの設定に従う」とはTWAINドライバ側に従うという意味である。

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解像度は300dpiの両面読み取り、24bitカラーであるが、用紙サイズはA4を選択している。写真工業誌はB5サイズだが、これは後段にて原稿サイズ自動設定をオンしているため余白は自動的にトリミングされる。それらを入れないと余白もしくは余黒として塗りつぶされる。裁断機等を使用して正確に原稿サイズを合わせられる場合はここで決め打ちしてしまえばサイズにバラつきのないPDFが得られる。

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色調の詳細設定であるが、ここではsRGB出力を選択している。デフォルトだとかなり色味が地味で、特に原色においてScanSnapの画作りとは似ても似つかない大人しい画調になる。これはsRGBを選択しておけばいくらかマシになるので、ScanSnapのメリハリの効いた画調が好みであればこの設定をオススメする。もちろん手動で弄ることも可能である。

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どのくらい色が違うかというとこんな感じである。左上がプリセットガンマ「明るく」を選択したもの、右上がScanSnap(S510)デフォルト、左下がsRGB、右下がfiのデフォルト設定である。特に「カメラGET」の赤・黄色の原色に違いが出ている。またデフォルトのガンマは結構黒が潰れ気味になるので、F-1のグリップが潰れてほとんど読み取れない。パッと見で最も好ましいのはScanSnapという人も多いのではないだろうか。とりあえず現在はsRGBにしておいた。

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さて、TWAINドライバ側の設定は多岐に渡るが、深めの階層に重要な設定が眠っているのも分かりづらいところである。原稿サイズ及び自動傾き補正は「回転」のメニュー内に入っている。ここでは自動判別とし、精度を重視した設定を取っている。最も、用紙外形での判別しかしていないようで、ScanSnapのように文章のレイアウトを検知して傾き補正をしているわけではない。このため、微妙に傾いて裁断した場合はそのまま微妙な傾きが発生する。

ただ、ScanSnapの文章のレイアウトを利用した傾き補正よりもこちらの方式の方が信頼が置けると個人的には考えている。なにせ雑誌であればインパクト重視で文字列が斜めにレイアウトされていることも多いのだが、ScanSnap側でそれを検知して豪快にページを斜めに補正されてしまった経験は一度や二度ではないのだ。当然それをやられると補正を切ってスキャンし直しなので、仕舞いには補正は最初からオフにしていた。故にこれでいいのだ。

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キャッシュ等も設定できるので、せっかくなのでいろいろ盛っている。おかげで息継ぎ無しで連続でスキャンが続けられるので、おそらく効果はあるのだろ。また、超音波重送検知はデフォルトではオフになっているので必ずここでオンにしておきたい。超音波重送検知はかなり優秀で、的確にストップをかけてくれるので、エラーが出たら捌き直して再度スキャンすればページ抜けもなく仕上げられる。

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ここはオマケだが、是非設定しておきたいのがスキャナ側操作パネルのボタンである。これを設定しておけば、スキャンボタンを一押しで予め指定したプロファイルで読み取り開始というScanSnap的な操作性を手に入れることが出来る。が、この設定は非常にわかりにくい。実はここでスキャンボタンを有効にしただけでは動かず、デバイスドライバの設定も変更しなければならない。詳しくはマニュアル参照のこと。設定しておくと非常に便利である。(なお、後継モデルではこんなことをしなくてもScanSnap的に使えるようなソフトが別途添付されるようになった)

さて、ここまで設定が出来たらあとは実際にスキャンするのみである。雑誌の裁断には定評あるPLUS PK-513Lを使用している。実は知人からの借り物であるが、車でないと持ち込めないことから了解を得つつも長期貸出を受けたままになっている。ちなみにもし今から買うのであればハンドルが畳める後継機の方がオススメである。めっちゃ場所取るので。

雑誌程度であれば一発で裁断出来るのは大きい。現状ではズレ防止にゴムの滑り止めを貼り付けているが、こうするよりは手で原稿を押さえながら裁断した方が裁断面のズレは抑えられそうといのうが数百冊裁断してみての感想である。

これで裁断したらfi-6140にセットしてスキャンボタンを押すだけだが、その前に毎回読み取りガラス面は拭いておいた方が無難である。ホコリやゴミが残っていてスジが入ると全部読み取りし直しということもあるので。

さて、速度差については先に挙げた記事でも大きな違いがあると述べたが、実際どのくらい違うのか、B5の雑誌(132P)をスキャンしてみた。どちらも純正のスキャンソフトを使用し、カラー300dpi設定でスキャンして保存ダイアログが出るまでの実測である。

fi-6140 : 1分29秒
ScanSnap S510 : 6分13秒

実際は原稿の流れていくスピードからして明らかに違うのだが、ScanSnapでも思ったよりは速い(公称値は12P/分なので10分かかってもおかしくない)。しかし、1.5分でスキャンが完了するとなればもはやここからScanSnapに戻ろうとは正直思わない。

ましてや、前回記事で触れた通り原稿の給排紙能力に歴然たる差があるので、ScanSnapでは重送やジャムを起こしてしまいそうな原稿でもそのまま投入出来、万一重送が起きても即座に検知して再度読み取りが続けられるfi-6140は読み取りの実時間以上に時間を節約できる。逆に言えばScanSnapでは、純粋な読み取り以外のこまごました出来事に時間を取られてしまっていたということに気が付く。

というわけで本日までにおよそ300冊の書籍の電子化には成功したものの、尚300冊以上(写真工業26年分+α)の在庫が待ち構えている。果たしてこれらの電子化はいつになったら終わるのか、書いてて不安になってきた……。

業務用スキャナを使う -PFU fi-6140とScanSnap S500比較編-

前回お伝えした通り、一時の気の迷いから自炊(書籍の電子化の方)を再開してみたところ、ScanSnapが壊れて追加購入まではともかく、最終的には業務用機であるPFU fi-6140を導入するに至った。

なんでこんなことになったかというと、ついうっかり写真工業誌400冊セットというのを購入したからである。休刊直前までの約30年分ほぼ全揃いというのはもはやチマチマ集めるのは無理と判断したので清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入した。おかげで段ボールを運ぼうとして腰を痛めかけたり文字通りの本の山によって家族から白い目で見られるようになったりした。つまり、一刻も早くこの山をスキャンによって崩さなくてはならないのである。

さて、カメラ誌としては薄い方である写真工業であっても、いくらなんでも400冊のスキャンは骨が折れる。現代のフルHD程度のタブレットで読むのであれば解像度300dpiは欲しいしカラーページも残したいのでオールカラーでスキャンしたいところだが、手持ちのScanSnap S500だとこの設定では6枚(12ページ)/分しか読み取れないのだ。ちなみに写真工業誌はだいたい130Pくらいある。一冊10分長かかるとなると、400冊が終わるのは目眩がするほど先のことになりそうである。

ScanSnapの現在の最新バージョンであるix500であれば25枚(50ページ)/分まで速度は高められているが、とにかく大量の本をスキャンしたいというニーズに対しては読み取り速度は速ければ速いほどよいというのが本音である。こうした中で、業務用機であるfiシリーズの型落ち機を中古購入するというプランがにわかに現実味を帯びてきたのだ。

もちろんScanSnapにあるような無線LANクラウド連携やPCレス単体スキャンなどの便利な機能は搭載されていない。しかし、ことスキャンの基本性能に関して言えばやはり業務用機は圧倒的に高性能なのである。

購入したfi-6140は2011年には終売している古いモデルだが、スキャン速度はS500どころか現行最上位機のix500すらも大きく超えるカラー300dpi読み取り40枚(80ページ)/分である。S500からすれば超が付くほど高速と言って良い読み込み速度で、ブレーキローラーや超音波重送検知などのScanSnapでは最近の上位機にしか付いていない機能も標準で搭載されている。

しかし、fiシリーズは新品で買うと非常に高価な業務用機(定価は10万以上していた)ということもあり、ネット上にもあまりこの辺りの機種を自炊用途で使用した時の感想は多くないというのも事実である。

正直に言って業務用機という響きと安かったから(こればっかりだなこのサイト)半ば悪ノリで買ったという面も大きいのだが、実際に使ってみるとfiの基本性能の高さに感動したので、この感動を誰かに伝えずにはいられない。ScanSnap買うよりみんなfi買おうぜ、と言いたくなる程度には素晴らしい結果をもたらしてくれたのだ。

というわけで、手元にあるScanSnap S500と簡単に比較してちょっとした解説を書いてみることにした。

f:id:seek_3511:20160417103130j:plain左がPFU fi-6140、右がScanSnap S500である。サイズに関しては一回り大きいが、かといって業務用機と聞いて身構えるほど馬鹿でかいというわけでもないというのはこの写真からも感じて頂けると思う。実際他社ドキュメントスキャナの中にはこの程度のサイズの製品もあるので、置き場所に困るというほどでもないと思われる。

ただし、供給部のトレーはScanSnapのように折りたたむことは出来ない。取り外すことは出来るが、気の利いた収納場所が用意されているわけでもないので、通常は付けっぱなしになることだろう。未使用時はここからホコリが入ってしまうので、使用前には簡単にエアブローでホコリを飛ばしたりする必要があるが、これはカバーされているScanSnapであってもそうしたホコリに起因するスジ防止の為には毎回清掃するのが望ましいと考えているのであまり問題とは考えていない。

というか、原稿自体をフィードするこのタイプのドキュメントスキャナにとってホコリはつきものであり、可能であれば毎回読み取り面を拭き取りたい。これが入ってしまったばかりに全頁スキャンし直しみたいなことはよくあるので、急がば回れといったところである。

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給排紙側のトレーを展開すると、両者のサイズ的な差は更に縮まる。どちらもストレート排紙を目指したタイプであり、紙の曲がりが少ないことから比較的紙の厚みに左右されない方式である。単行本やカタログなどの紙質がほぼ一定の書籍はもちろん、表紙・カラーページ・モノクロページと紙の厚みと紙質が目まぐるしく変わる雑誌スキャンをメイン用途とするものにとっては大変ありがたい。

ScanSnapでの自炊のやり方について解説しているサイトでは、雑誌の表紙と記事ページの紙質の違いからこれらを分割して読み込むことを推奨しているところもあるが、今のところfi-6140であれば一括でセットしても不都合は起きていない。

ただし、S500を使用していたころは例えば表紙と1ページ目を一緒に重送してしまったり、逆に表紙がフィードされずに途中のページから読み取りが始まってしまい最後に表紙と裏表紙が連続でスキャンされたりといったことは頻繁にあった。

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その大きな違いを生み出しているのが、給排紙及び原稿分離の機構である。

ちょっとわかりづらいが、手前のS500はゴムの爪で原稿を押さえているのに対し、奥側のfi-6140ではゴムローラーが装備されている。詳しい機構についてはググって欲しいが、これがブレーキローラーと呼ばれるもので、ゴム爪よりも分離の能力が高いため、重送が起こりづらいというのがメリットである。

また、fi-6140には超音波センサーも装備されており、万一原稿が重送された場合でも高い精度で検知して止めてくれる。重送が困るケースは多々あるが、例えば書籍を解体した際にノリ残りがあってページ同士がくっついたまま搬送されてしまうという、重大だがよくあるケースにおいて、原稿をそのまま巻き込んでいってグチャグチャになってしまうという悲しい事故も防ぐことが出来る。S500ではこうした事故を複数回経験したので、常にスキャナの前に張り付いて緊急停止出来る体制が必要だったが、fiであれば原稿セット後はある程度任せておける。

また、原稿の破壊には至らないまでも通常の重送も結構厄介なものである。例えば重送によってページが飛んでしまっても、完成したpdfを一枚一枚見てページ番号と付き合わせない限りはなかなか発見できない。運良く発見しスキャンし直しの上でAcrobatを使って結合する程度で済めば手間ではあるがまだマシな方で、酷い場合には原稿を捨ててしまった後に読み返していてページ抜けに気が付くケースすらある。この場合はもう後の祭りである。

このような不幸な事故を防ぐことが出来るというだけでも買い換える価値は存在する。S500では上記のような危なっかしい挙動があるので、スキャン中の約10分間スキャナの側にいて目視で異音やフィード不良がないか見ていないと怖かったのだが、fiに買い換えてからはチラッと目をやる程度でまったく不安がない。もっとも、スキャン自体も高速なので眺めていてもすぐに終わるのだが。

なお、インターフェースはどちらもUSBで、それに加えてfi-6140ではSCSIが使用出来るが、業務ユースでなければ今となってはこちらを使うことはほとんどないのではないかと思われる。ACアダプターはS500は16V、fi-6140は24Vで互換性はない。

余談だがスキャナというのは意外に必要電圧が高いようで、フラットベッドスキャナやフィルムスキャナでも24Vを要求するものが多い。24VのACアダプターはあまり多くないので素直に秋月などで探した方が早い。このfi-6140もジャンク扱いでの購入だったのでACアダプターがなく、秋月のアダプターで代用している。コネクタはそのまま使用可能であった。

さて、fi-6140はこのようなハードウェアの仕様から、未だにScanSnap現行最上位機であるix500よりも高速な読み取りを実現している。一方で、もし現時点での頂点を目指す場合はfi-7180がある。これは80枚(160ページ)/分なので予算があればこれを手に入れるのが間違いないわけだが、実売15万円程度とix500の三倍近い額になってしまう。

新品と中古機の値段を比べるのはフェアな比較とは言えないが、実際fiシリーズの中古はヤフオク辺りならわりと豊富で、少なくともix500を買うつもりであれば予算は足りる。また、中古機で心配なドライバやソフト類も他メーカーに比べれば入手しやすい。

やってみてわかったことだが、自炊というのはスキャナ自体の動作速度はもちろん、いかに細々したエラー停止や手戻りを少なくするかがスループットに効いてくる。そして残念ながら、様々な原因によってスキャンのスループットは悪化していく。

先に挙げた通り、雑誌の解体だと裁断箇所のギリギリを狙いすぎるとノリ残りで原稿巻き込みのリスクが高まったり、運良く止まってもその間スキャンは中断となり、再度捌いてからスキャンし直しといった事態にも遭遇する。

たとえ無事にスキャンし終わっても斜行がないか、ページ飛び、ページ順が狂っていないかチェックする必要があるし、もしそれらの問題があれば再度スキャンし直しというケースも多い。そうした作業を繰り返す中では、やはり業務用機なりに給排紙が安定していて、信頼性が高いというのは数値スペック以上の多大なメリットを感じるのである。事実、S500からfi-6140に乗り換えてから、以前はたまにあったページ順が狂うフィード不良には一度も遭遇していない。

fiシリーズは高速読み取りであったり、A3対応などのScanSnapでは埋めようがないニーズに対応出来るモデルも多いので、もしクラウド連携などの便利機能が不要で、ただひたすら大量のスキャンをしなければならないというのであれば、こうした業務用機を使うというのも選択肢の一つではないかと思うのだ。

ただし、操作は正直わかりにくい。そこで、次回は具体的なスキャンの流れについて解説できればと考えている。