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無名サイトのつづき

ファーストインプレッション:PENTAX K-01 その2 撮影してみて

レンズキットで3万円台前半という値段に釣られて購入したK-01。

しかし、意外と言っては失礼かもしれないが写りについては褒める声が多い。購入前の下調べにと思っていくつかの個人サイトを覗いた限りでも、画質面での不満はあまり聞こえてこなかった。少なくとも価格が安い=性能が悪いということではないようである。

実はコミケの時、撮影の順番待ちをしていたらたまたま前にK-01を使っている人がいて、待ち時間中にカメラについて二言三言話をしたのだが、その方も写りについては満足しているとのことだった。さすがにその人もメインというわけではなく、サブ機扱い(メインはK-5)だったが、この名も知らぬ同志が、購入に迷う自分の背中を押したのは確かである。

この写りに対する評価の高さは、噂ではマーク・ニューソン氏にギャラを払ったらその時点で資金が尽きたのでローパスフィルターが薄いとか少ないとかという話であり、そのせいかかなり高精細な画が出るから、ということである。また、高感度性能には定評のあるソニー製1,600万画素センサーというのもこの年代のカメラとしては標準的なスペックといえる。一体K20DSamsung製センサーとは何だったのか。

そんなわけで購入して最初の週末、FA☆24mm F2 ALだけを付けて旅のお供に連れて行った。

本来ならばキットレンズのDA40mm F2.8 XSを真っ先に連れて行くべきかもしれないが、もともと購入理由が死蔵スターレンズの活用にあるのだし、だいたい一本だけ連れて行くのであれば60mm相当というのはちょっと使いづらい。翻って24/2は35mm近辺である。個人的には決して得意な画角では なく、むしろ苦手なくらいなのだが一本だけ持って行くにはちょうど良い画角と言える。

決して撮影旅行ではないので、蕎麦食べに行ったり雪道を走りに行ったりときままなルート取りをして、その合間にスナップだったり、三脚を立てたりという感じで撮ってみた。そしてわかったことは、だいたい下記のようなところにまとまる。

・普段αやGRでしているような、右腕一本でホールディングしながらうろついてのスナップというのが、実質的にほとんど不可能。グリップが浅く、握れない事はないが片手持ちには不安が残る(撮影時まだストラップを付けていなかったこともある)
・よって、手持ちでの撮影時は「左手でしっかりとレンズを支えながら、右手は軽く添えてシャッターを切る」感覚。これは普通の一眼レフとはちょっと感覚が違っていて面食らう
・ダイヤル自体は操作しやすいが、露出補正キーを含む天面のキーはちょっと押しづらい。かといって上記のようにスナップ向きでもないので、オート・無補正でバシャバシャ撮るのもなんかしっくりこない
・92.1万ドット液晶を奢っている割には、スルー画からはピントが来ているかいまいち分かりづらい。拡大とピーキングを駆使することは可能だが、果たしてそれはこのカメラの性格を考えるとどうなんだろうかみたいな気持ちになる。AFは思ったよりは早い
・やっぱりファインダーを覗きながら撮る方が……みたいな気持ちになる。それはノスタルジーではなく、実利上の理由から。冷静に考えてこれだけの重さのカメラとレンズを、ライブビューを覗けるように持ち続けるとブレやすいし、前述の通りけしてホールディングのよいカメラではない

というわけで、個人的な感想では、このカメラは巷で言われているようなおしゃれなスナップカメラなどではない、というのが率直な感想である。そして不満のほとんどはこのデザイン・この仕様に起因している。ただし、これはデザイナーズモデルとしては半ば当たり前のことだし、そこにあまりケチを付けるのは野暮な事だと思っている。

実際、全く不満ばかりかというと実はそうでもない。それは三脚を立てて次の写真を撮っている時に気がついた。

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冬場の湖の澄んで張り詰めた空気。それをけっこう緻密に映し出しているような気がするのだ。もちろんレンズが高級グレードのレンズで、低感度で、十分絞って、三脚を立てて撮っているというのはある。正直条件としてはかなりカメラに優しい条件だ。

 

だけど、前日の通りRAWはあんまり使う気がしなかったので、jpgであれこれ設定を変えながら、ライブビューと睨めっこしつつ、丁寧にピントを追っていく感覚というのは、久し振りに感じるものだった。そう、おしゃれなスナップカメラとは正反対の世界にこそ、このカメラの生きる道があったのだ。少なくとも自分はそう確信した。

無論、この冬ボーナスもロクに出ていないのにカメラなんて買ってる始末なんだから、写りくらいは褒めるところがなければ自らの行動を正当化できないというのは、それはそうなんだが。

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