インターネット

無名サイトのつづき

ファーストインプレッション:PENTAX K-01 その4 個人的まとめ

過去三回に渡ってファーストインプレッションをお送りしてきたK-01だが(1,2,3)ここらで個人的に感じたことをまとめておきたい。

まずは、撮影に関して気になったこと。

K-01の最大の特徴は位相差センサーのないコントラストAF専用機、それも既存のKマウントAFレンズが全て使えるというところ。これは既存レンズがそのまま使えるという強みになっているが、コントラストAFに最適化されていないレンズを使わなくてはならないということでもある。

実際どうなのか? という点についてだが、使用感はこれまでにも書いてきたとおり思ったよりもマトモに使える。少なくとも風景やスナップ程度であればそれほど不満は出ない。元々このカメラで動きモノを撮ろうとは思っていないので、自分の用途であれば不満はないというのが正直なところだ。

ただし、近接撮影等では正直言って使い物にならない。最短撮影距離ギリギリで撮ると、たいていの場合ピントピークを通り過ぎて合焦不可の表示が出てしまう。室内の小物を撮る程度であれば、何度か根気よくシャッター半押ししてあげれば食いついてくれるのだが、たとえば小さな花のような被写体だと手前の花を無視して背景にピントが来てしまう事がしばしばあり、そうするともうMFに切り替えるしかない。

ちなみに自分が持っているレンズは全てクイックシフトフォーカス非対応レンズなので完全にMFに切り替えないとMFが効かない。なお、ボタンカスタマイズでAF/AE-Lロックキーに割付出来る機能の中に「AFキャンセル」がありこれを割付るとAF/AE-Lキーを押すと画面に「MF」と表示される。ただ、これは同じボディ内AFのα系のMF/AFキー(DMF)とは違い、レンズ側のAF駆動カプラを開放してくれない。よってカプラは繋がったままなのでピントリングは動かせない。(クイックシフトフォーカス対応レンズであれば、ここでMF操作が可能になると思われる)

この仕様についてはK-01がどうこうというよりはペンタックス機共通の制限なのだが、正直この仕組みは(自分がα系メインで使い慣れているとはいえ)α系のDMFの方が優れていると思う。クイックシフトフォーカスは対応レンズでないと効かず、実質的にDAレンズ専用の機構であるし対応しないレンズも多い。SDMでないカプラ駆動レンズについては合焦後でないとピントリングがフリーにならないので、ともかく一度合焦させなければならない。それであれば、明示的にAF/MFを手元で切り替えられて、なおかつほぼ全レンズで使えるα系のDMFの方が個人的には好ましいと感じる。

また、最短距離での撮影で精密なピント合わせをしようとすると先の通りAFは全くアテにならない。このカメラはピーキングも使えるが、中望遠を使い最短撮影距離で紙のようなピントに合わせる時には、正直言ってピーキングでも上手く行かない。そのため、MF時は頻繁にOKボタンを使って拡大表示を使うハメになる。当たり前の話だが、拡大中は全体の構図を確認出来ないので、頻繁に全画面と拡大を行き来することになる。これを手持ちでずっと繰り返すのは苦痛に近い。

そのほかにも、デザイン優先が故に各キーが押しにくいというのは、もう初めから分かっていたがどうしようもない点である。特に天面のキーはグリップを握りながら押す事は不可能ではないかと思える配置。ボタンカスタマイズが出来るだけマシという声もあるかもしれないが、グリーン・レッドキーは押しにくい位置だし、AF/AE-Lキーは割付られる機能がだいぶ制限されている。個人的な要望を挙げるとすれば露出補正とAE-Lを入れ替えたいのだがこれも出来ない。露出補正すらしにくいレンズ交換式カメラというのは中々強烈なジョークだと思う。

しかし、それらの操作系の欠点を解決する方法を見つけた。それは三脚に据え付けることである。握りにくいグリップも、操作しづらいキー配置も、三脚に据え付けてしまえば全て解決するのだ。

元々ミラーがない構造ということもあってブレづらいし、ライブビューでの拡大MFも(手持ちでなければ)非常に快適に行える。なおかつ、まだ試してはいないがHDRやインターバル撮影などの三脚向きの機能も取りそろえている。これはまさに、三脚に据え付ける為に作られたカメラではないだろうか。しばらく使っていて、そう確信するに至った。

マーク・ニューソン氏曰くK-01は「プロフェッショナルの為のカメラ」らしいのだが、確かにこれは撮り方からしてもプロフェッショナルでないと使いこなせないカメラであると言えよう。

世間のレビューとはだいぶ離れた結論ではあるが、ともかく自分の中では、このカメラはそういうポジションに収まったのだ。

f:id:seek_3511:20130216162722j:plain
「紅梅」 PENTAX K-01 + FA135mm F2.8[IF]

[この記事はシリーズ記事です 1 - 2 - 3 - 4]