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無名サイトのつづき

レンズについて[第1回] : MINOLTA AF APO TELE 200mm F2.8

せっかく色々レンズを持っているのだから、思うところを色々と書いてみる事にした。

第一回目に何を書くか色々と迷ったのだが、自分の中で初めて「よいレンズ」というものを意識した記念すべきレンズということで、MINOLTA AF APO TELE 200mm F2.8で始めようと思う。

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α900 + AF APO TELE 200mm F2.8

このレンズは、元はといえば祖父の形見の品である。写真が趣味だった祖父は様々なカメラを使っていたようだが、亡くなった際に形見のカメラは自分の父親を含む親戚の手でほとんどが現金化されてしまい、最終的に自分の手元に残ったのはごくわずかなジャンクだけであった。ちなみにアルバムや残った機材の説明書を見る限りでは、ハッセルブラッドやローライも所有していたようだ。自分がカメラに興味を持ちだしたのは祖父の死後十年以上も経ってからの事なので今更どうにもならないが、もし自分が当時からカメラ好きだったならきっとありとあらゆる手段で売却を阻止したことだろう。そうしたら今頃ハッセル使いだったかもしれない。

そんなわけで、本来ならこのレンズも真っ先に売却されてもおかしくないのだが、どういうわけか実家の押し入れの奥底に残されていた。自分が見つけた時は保管状況が悪くカビが発生してしまっていたので、おそらくそれが売却を逃れた原因であろう。

写りについては後述するが、このレンズの写りを知らなければ、きっとここまでカメラというものに深くのめり込まなかっただろうと思っている。

なお、スペックはケンコートキナーのスペック表参照のこと。

外観の特徴は、なんといっても当時の高級シリーズであることを表す白塗装。ちなみにこのレンズは初代なので高級シリーズを示す「G」銘は付いていないが、その後小変更と共にGレンズ化された。なお、この塗装は非常に剥がれやすく、普通に使っているだけでも塗装が剥げて下地が見えてしまう。このため中古市場では無傷のもののほうが少ない。

組み込みフードは伸ばした時のみネジ込みでロックがかかるタイプ。縮めた側ではロックがかからないので、下に向けると自重で伸びてしまう。フード内側には植毛加工が施してある。

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現在のレンズには見られない特徴の一つが、ピントリングカバー。これはAFのパイオニアであるミノルタらしいところで、基本的にAFで使って欲しいということなのだろうが、正直言って使い勝手は良くない。ピントリングの幅がそれなりに確保されているのが救いといったところだろうか。ちなみにこのカバーにロックはない。

他にメカ式のフォーカスリミッターが付いているのだが、インナーフォーカスでAFが早いこともあってほとんど使った事はない。フォーカスリングは軽く、人によっては軽すぎると感じるかもしれない。

また、このレンズは最前面に柔らかい(らしい)APOガラスを使用しているので、標準で72mm径の素通しフィルター(AC CLR)が付属している。これは普通の72mmフィルターであり、特殊な仕様というわけではないのでもし欠品していてもUVやプロテクトフィルターで代用可能である。

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いわゆる白レンズということもあり、堂々とした大口径レンズではあるのだが、単焦点ということもあり軽くてコンパクトなことが美点の一つ。たとえばソニーに現行で同スペックのレンズはないが、明るさと焦点距離が同等の70-200mm F2.8G SSMだと質量は1,340gで、790gのこのレンズとは明確な差がある。もちろんあちらはズームレンズだが。

単焦点ということで、最短1.5mとズームに比べて寄れるのもメリット。最近のズームは寄れる(たとえば先程引き合いに出した70-200/2.8は1.2mでさらに寄れる)ので必ずしも単焦点有利というわけではないが、自分が持っている同クラスのSIGMA 70-200mm F2.8 EXの最短撮影距離が1.8mであることを考えるとやはり大きなメリットの一つだ。この機動力の高さを生かして、屋外で三脚無しでの花撮りなんかに使う事が多い。なおこのレンズはテレコンが使用可能なので、それを付ければ見かけ上の撮影倍率はさらに上がる。ネイチャーでは1.4倍テレコンを噛ませて280mm F4相当で使うのも使いやすい。

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絞り羽根は9枚だが、残念ながらミノルタが円形絞りを採用する前に開発されたレンズということもあり、一段絞ってみるとちょっと角張っている。このため光点ボケなどではちょっと気になることもあるが、それ以外のボケ味は良好。前ボケ、後ろボケ共に気になった経験はない。

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後玉側にも植毛が施されており、作りは丁寧。さすがGレンズ……のご先祖様といったところ。

その描写は単焦点らしいキレのあるもので、解像感は必要にして十分以上。ほどよく望遠の焦点距離と、大口径のボケを生かして近距離・開放で切り取るもよし、もちろん絞っても離れても安定した描写を見せてくれる。

色々作例をFlickrにアップしておいたので、描写についてはこちらを参照のこと。自分の使い方では花撮りの秘密兵器といったところだ。これか100マクロがあればたいていの花はそれっぽく撮ることが出来る。

このレンズは、前述の通り自分がα100デジタル一眼レフカメラを使い始めた時、キットレンズ以外に手に入れた何本かのレンズのうちの一つだった。当時の手持ちレンズはSONY DT18-70mm 3.5-5.6の他にはMINOLTA AF35-105mm F3.5-4.5NewとMINOLTA AF24mm F2.8で、いずれも祖父の形見であり、没後ずっと放置されていたせいで、三本とも大なり小なりカビてしまっていた。

そのせいか、それらのレンズで写しても一眼レフらしい大きなボケが得られるくらいで正直言うほど写りがよくなった気はせず、こんな大きくて重いカメラはじきに使わなくなるだろうし、高い金を出して買ったのも心配だったかな……と思ってすらいたのである。

しかし、それらの印象はこのレンズを付けて一変することになる。シャープさ、ボケ、そして手ブレ補正と明るいレンズによる撮影対象の拡大。何を撮っても画になってしまうのではないかと勘違いするほどの描写に、一度で惚れ込んでしまった。

かくして、このレンズはその後少ない貯金を切り崩してカビ取りに出され、奇跡的にカビ跡が残る事もなく完調になり、メインのカメラがα100からα900に変わった今でも、第一線で活躍している。Gレンズの中では比較的手頃な方に入り中古のタマ数も比較的多い。70-200/2.8クラス全盛の今となっては影に埋もれることも多いスペックだが、使っている人の満足感は高いようで銘玉と言っていいのではないかと思う。

そして自分にとっては、祖父の形見云々を抜きにしても自分がカメラにのめりこむきっかけなった最も思い入れの深いレンズなのだ。