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無名サイトのつづき

「良いレンズ」の迷宮

北海道に旅行に行ってきた。

長年の夢であった撮影行をを終えて、明日から仕事ということを除けば全く満ち足りた気分でいるのだが、撮ってる最中に思ったことについて。(※ちなみにこのような事情から今回コミケは行ってないし今後以前のように毎日行くことはないだろうと確信している)

今回の旅については機会があればここに写真など掲載することとして、機材はα900の一台のみとした。レンズはミノルタからソニーまでの違いはありつつもGレンズで揃えて、具体的には
・MINOLTA AF 17-35mm F3.5 G
・MINOLTA AF 28-70mm F2.8 G
SONY 70-300mm F4.5-5.6 G SSM
……あたりを持って行った。いわゆる大三元セットではないものの、まぁそこそこの重量のシステムである。実際はこれに加え、最近手に入れて修理に出していたソニー100mm F2.8マクロも修理上がりに引き取りそのまま持ち出したのだが、実際は使用する機会が無かった。やはり旅行ではズームの利便性が勝ってしまうということと、同行者のいる旅行だったのであまりのんびりマクロ撮ってる余裕もなかったのである。

さて、こういうときに毎回悩むのが機材の重量と可搬性のバランスである。おおざっぱに言って、写りの良いレンズというのは大きくて重くて明るいレンズのことなので、当然可搬性は犠牲になる。また、そういったレンズであっても単焦点であると寄りや引きが必要なシーンでもどかしい思いをする羽目になる。かような事情もあって、今回のセレクトは利便性に配慮しつつ、やや画質優先のセレクトである。現地での移動は友人の車だったため、ほとんどのシーンでカバンを持ち歩く必要がなかったというのもある。

そして今回は、その中の一本である70-300Gの話。ソニーになってから新規開発された高級ラインのGレンズということもあり、ネット上の評価を見ても概ね良好な評価を得ているレンズではあるが、手持ちのレンズはどうにもシャッキリしないと感じている。

元々は知り合いが手放すというので、物々交換で手に入れたレンズなのだが、購入直後からテレ端の写りが思ったほどではなかったので、購入直後に一度ソニーで有償修理を受けている。数千円かかった(正確な額は覚えていない)が、一度きちんとしたメーカー修理を受けているということもあるので、このレンズのベストな調整範囲には入っているものと考えている。

……その上で、この写真を見て欲しい。

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等倍にしてみると、なんともモヤモヤした印象を受ける。夏なので若干陽炎の影響を受けているのかとも思ったが、この日の気温は曇りということもっあって25度前後と、さほど高くはない。そのほか考えられることといえば歩き撮りに近い状態だったので手ブレくらいだが、一応1/焦点距離のSSは確保出来てるし、手ブレ補正も効いてるので安全圏のはずである。それでも遠景方向は油絵のように潰れて、ナンバーは判別出来なくなっている。煉瓦造りの駅舎も煉瓦の積み模様が判別出来るギリギリになっている印象を受ける。ピントは中央のはずだが、ピント面が存在してそれ以外が被写界深度を外れているというよりは、全体に何処にもピントが来ていないような印象に近い。

ちなみにこのレンズ、テレ端以外はこのような問題を感じたことはなく、またテレ端でも中距離~近距離ではバリバリに解像して十分過ぎるほどの画像を生成してくれると感じている。たとえばこの前後に写した写真で(小樽なので)川向こうの煉瓦造り倉庫を写した写真などは煉瓦一個一個の欠け具合までわかるほどにシャープである。それだけに遠距離での写りがこんなもんなのかと疑問なのである。

ただ、これを実際に等倍以外で見てみると、思ったよりもちゃんとした画像になっている。言うほど悪い結果だとも思えない。

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α900 + 70-300mm F4.5-5.6 G SSM

これを見ていて思ったのが「解像度」と「コントラスト」の話である。今まではなんとなくはっきり分かっていなかったのだが、これを見るに「解像度がたいしたことがなくてもコントラストが出ていればそれなりに整った風に見える」というのはこういうことなのではないかと思った。

等倍で見ると細部は潰れてしまっているのだが、色はハッキリ出ているのでサムネイルで見ると特に悪いということもない。逆にコントラストが出ていないと、白くモヤがかかったような写りになったりするのでそれを考えればこちらの方が好ましい味付けであると言えよう。

そう考えると、むしろ薄曇りの日に見られるだけのコントラストが出るのだからいいレンズであるという言い方も出来る。そもそも等倍鑑賞にどれだけの意味があるのかという点も含めて、画質評価は難しいし、それらを内包するレンズ全体の評価というのはより難しいものがある。

だいたい、予算と体力的なところを無視すればこれよりもシャープな写りのレンズというのは存在する。するとは思うのだが、今回のような用途においては実際自分が買って気軽に持ち運べるということが第一であり、その中でいかに妥協するのかという話である。

そうした数々の前提条件を考えると、やはりこれはいいレンズなのではないかと思い、無理矢理納得しておくのが平和なのではないか。

でもやっぱり、もうちょっとシャープでもいいような気がする……。