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無名サイトのつづき

ハイレゾ関係なし! iPod classic難民の為のウォークマンNW-A16レビュー

世間では高級イヤホン・ヘッドホンブームに端を発したハイレゾ音源やハイレゾ再生環境が流行ってるらしいが、幸か不幸かあまり上等な耳を持たないのでそれらの波にはイマイチ乗ることが出来ずにいる。

一方で、それらのブームの影でひっそりと役目を終えた音楽プレーヤーもある。HDDタイプのiPod classicである。「iPod」という名前の直系の子孫だが、残念ながら2014年の秋に特にアナウンスもないまま販売を終了した。

元々Appleは「classic」と付けたらもうその製品はアップデートされなかったり、そもそもiPod classicは他の機種がlighteningコネクタに移行するなかいつまでもdockコネクタだったりと、いつ終わってもおかしくない状況だったのだが、とうとう生産終了が現実のものとなってしまった。
白黒液晶でボタンが光るモデルの頃から歴代のiPodを使ってきたが、もちろんiPod classicも所有しており、今でも愛用している。iPhoneもあるのに何故と思われるかもしれないが、単純に手持ちの音楽ライブラリを全て入れておける機種がこれしかなかっただけである。
そう、一時期は群雄割拠の一大戦場であったポータブルオーディオの世界も、気が付けばApple一強、次点でソニーという世界となり、他のメーカーでフルラインナップを維持しているところはなくなってしまった。そしてその中でも、64GBを超える大容量プレーヤーは事実上iPod classicしか選択肢がなくなっていたのだ。かつてはライブラリを全て持ち歩くことが革命だと賞賛されたのに、である。
そんなわけで、手元のiPod classicは未だに動いているが、これが壊れたらと思うと途方に暮れてしまった。普段はiPhoneで音楽を聴くことに慣れているのだが、やはり全ライブラリの一部を切り出して使っている以上、聞きたいときに聞きたい曲が入っていないことがよくある。また、アプリの為の容量を食いつぶしてしまったり、そのためにわざわざ一番高いモデルを買わなければならないというのも困りごとだ。
しかし、iPod classicの終焉で音楽ライブラリを全て持ち歩ける音楽プレーヤーの選択肢は消えてしまった。一部のハイエンドプレーヤーに大容量モデルは存在するが、正直気軽に買えるとは言いがたいお値段である。
……そんな中、彗星のように登場したのがWalkman NW-A16/17であった。
ソニーとしてはハイレゾのエントリー機というところを一番のウリにしており、実際購入者のレビューもほとんどはその辺りについて語っているのだが、このモデルの個人的な一番の魅力は「大容量のmicroSDの追加で大容量プレーヤーになり得る」という点だと思っている。ハイレゾとかはぶっちゃけとどうでもいい。どうせライブラリのほとんどはMP3だ。
というわけで、今年のボーナス散財として32GBモデルのNW-A16の方を買ってきたので、iPod classicを代替するプレーヤーという点で評価してみたい。
ちなみに評価環境だが、ライブラリのほとんどはMP3(一部iTunes storeで購入したAAC)で10,000曲くらい、転送しない(出来ない)楽曲もあるので、トータル60GB弱になっており、足りると判断して東芝製の64GB microSDXCカードを挿入して使用している。本体メモリは使用せず全てメモリーカードでの運用である。
イヤホンは付属イヤホンのほか、SONY XBA-3やファイナルオーディオの組み立てイベントで作成した真鍮筐体のイヤホン(シングルBA)、ZERO AUDIOのZH-BX500などを使用している。
それでは、一週間くらい使ってみた中でのよい点とわるい点について。
 
[よい点]
  • 64G以上という大容量を実現出来るプレーヤーとしては最安クラスな事
    (本体価格25,000円+64GのmicroSDが約3,000円。128Gなら6,000円前後)
  • ハイレゾ対応を謳うだけあって、確かに音はいい……気がする
  • 小型軽量で電池も良く持つ。専用機の特権か
  • 意外に良かったのがノイズキャンセリング。付属イヤホンでしか効かないが
    追加投資なしでこの機能が使えるなら万々歳。通勤時に便利
  • 動作自体は非常に軽快。こうしたプレーヤーが
    必ずしもiOSAndroidである必要はないと思う
  • ハードウェアキーのあるUIなこと。ポケットに入れたまま使える
  • 外部メモリに保存する上での制限や動作速度の遅さはほとんどない

[わるい点]

  • iPhoneなどのタッチパネル式のプレーヤーと比べると、
    インクリメンタルサーチが出来ないので検索性は一歩譲る
  • iPodAndroid系に比べると充電ケーブルの入手性・価格ともに劣る
  • 付属ソフトでダイナミックプレイリスト(スマートプレイリスト)が作れない
    再生回数の多い曲や最近買った曲を聞き込むプレイリストを作成していた為
  • おまかせチャンネルを使うとホーム画面に戻れない(戻ると曲もリセットされる)
    このモードの中では全曲シャッフルをよく使うのだが、このせいで
    全曲から再生モードをシャッフルにする方が使い勝手が良く本末転倒
[仕方ない点]
  • 著作権付きAACが再生出来ない。昔のiTunesで購入しているとこの形式
    iTunes側で再ダウンロードなどが必要になる 
 
全体として満足度は高く、買って良かったと思える製品である。転送ソフトや周辺環境を含めた操作性や発展性に関しても、流石にiPod系には一歩譲るにしてもウォークマンなのでそれなりに対応機種が多く、こなれている印象がある。
かつてメインの音楽プレーヤーとしてVAIO POCKETを使っていた頃のウォークマンは製品そのものはともかく、周辺のソフトが相当酷かった印象があるが、流石に当時とは転送ソフトも変わって特に不満もない。(関係ないがあれをメインの音楽プレーヤーとして使ってた人、一体何人居るんだろう……居たら点呼取りたいくらい)
ウォークマンといえば小型軽量スタミナが代名詞であったが、そうした基本の部分をしっかりと引継ぎつつ、ノイズキャンセリングやラジオ・歌詞表示などiPod系にはない部分で戦おうとしているのがよくわかる。あとは長期使用した時の耐久性が心配なくらいである。まぁ、この点についてはiPod系もあまり褒められたものではないので、同程度持ってくれれば御の字である。
というわけで、ハイレゾには一切興味がなくても、MP3で大量にライブラリを保有しているiPod classic難民の人で、iTunesに拘らないという人には大いに推薦したい。
ウォークマンっていつの間にかここまで追いついてたのかと、ちょっと新鮮だったくらいだ。

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