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無名サイトのつづき

ポルシェでラーメンを食いに行く男達 -実録変なレンタカーを借りに行く-

当サイトで意外と人気がある記事の一つに以前思い立って一覧にしてみた「2014年版 変なレンタカー大全[関東近郊版]」がある。元々はMT車のレンタカーを借りようと調べているうちに、思ったよりも色々なのが見つかったので個人的に備忘録的にまとめたものである。

そして、当時の記事では触れなかったが、現在タイムズカーレンタルがService Xという名称で同様の方向性というか、あまり普通ではないレンタカーの貸し出しを行っている。とはいえ、価格が少々お高めなことと、短時間貸し出し限定なこともあってこれまであまり検討してこなかった。

しかし、キャンペーン期間ということで国産車(S30型 フェアレディZとFC型 RX-7カブリオレ)のみ3時間で3240円・延長は1080円/hで乗れるということなので、この度予約して乗ってみることにした。せっかくなので他と被らないセレクトかつMTをということで、車種はS30を選んだ。

……なので、本来であればここにはZの感想が書かれるべきだったのだが、諸事情でこのようなタイトルになっている。

さて、予約前日になって店舗から電話が入っていたようなのだが、電池が切れていて出られなかった。当日(ちなみに、この記事は前回の中央防波堤訪問記の翌日の話である)になって有楽町の店舗を目指したところ、移動中に電話がかかってきた。曰く、S30は故障箇所が見つかって貸し出しが出来なくなった為、他の日に変えられないかということである。

それはそれで仕方のないことなのだが、こちらとしてももう出発してしまった。というわけで他の車に空きはないかと聞いてみたところ、ボクスターSであれば空いているとのこと。当初の意図とは違ってATではあるが、ポルシェに乗れるならということでこちらを代車にしてもらうことで手を打った。せっかくのオープンなのに当日は雨のち曇りの空模様だが、そこまで望むのは贅沢すぎるというものだろう。

というわけで、中央防波堤に同行した物好きな知人と二日続けて合流し、いざ有楽町イトシア地下にあるタイムズの店舗へ。

どうやらS30は、燃料漏れのトラブルが疑われた為入院してしまったようだ。こうした趣味車は店員さん曰く「よく壊れる」そうだ。稼働率が上がらないとなかなかこうしたサービスを続けるのも難しいだろうが、なんとか頑張って欲しいものである。

さて、偶然から乗ることになったボクスターであるが、これも店員さん曰くこの季節乗るならエアコンなしのS30よりよっぽどオススメ、だそうである。実際ラインナップ中ではほぼ最新型と言っていい車なので快適装備はほぼフル装備。屋根だって電動である。ちなみにオープンカー自体はS2000,NB型ロードスター,現行コペン(いずれもレンタカー)に続いて4台目であるが、やっぱり電動トップは色々と便利でいい。コンビニ寄る度に屋根閉めるのは面倒だし。

問題は、これが初めて運転する外車だということである。初めての左ハンドルがポルシェ、しかも限定車。乗り始めてしばらくは感動や興奮とは違う意味で心臓が高鳴っているのがよくわかった。ちなみにぶつけた時の免責は50万円である。新車価格考えれば全損でも50万なら安いか……。

簡単なレクチャーを受けてから出発。とりあえずということで都心環状線道を間違えた為1.5周したところで、行き先は千葉をセレクト。慣れない左ハンドルに悪戦苦闘しつつも、アクアラインから海ほたるへ。

今回の目的は千葉のご当地ラーメンである竹岡式ラーメンを食べに行くことである。

せっかくなので明確な折り返しの目的地が欲しかったし、ドライブも楽しみたかったのだが、片道3時間で確実に帰ってこれて、行き帰りでルートのバリエーションを付けようと欲張るとなかなか難しい。その結果として、ポルシェでラーメンを食いに行くというシュールな旅程が決まったのだった。

竹岡まではアクアラインと館山道で小一時間半といったところだろうか。一般道に降りてからというもの沿線の観光地案内のほとんど全てがマザー牧場東京湾フェリーの二種類であることについて千葉県の観光産業に一抹の不安が生じ始めたころ、目的の店である梅の家に到着した。店構えからは駐車場があるか不安だったのだが、人気店ということもあり少し離れた場所に駐車場完備だったので助かった。なんせ今日に限っては路駐という選択肢はあり得ない。

完全にピークタイムを外しての来店だったのですぐに座れたのだが、退店時には行列も出来ていたのでただ運が良かっただけのようだ。特徴なんかについては他の詳しいサイトを当たって欲しいが、これがまたシンプルながら非常に美味しいラーメンであった。特徴的な作り方からするともっと特殊な風味なのかと思ったのだが、紛れもない醤油ラーメンだし、きちんと(?)うまい。そして薬味のタマネギと厚手のチャーシューがまた素晴らしくマッチしている。

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RICOH GR

ちなみにチャーシューがわりとたくさん乗っているが、これは普通のラーメンである。訪問時はチャーシューを切るヒマがないという理由でチャーシューメンはオーダー不可だったのだが、これを見ていると一体チャーシューメンにしたらどんなことになってしまうのだろうかという興味をそそられる。そのうち再訪して確かめてみたい所存である。

さて、飯は食ったので折り返しである。空は降ったりやんだりだが、この際自棄なので積極的にオープンを楽しむことにして屋根を開ける。やはりオープンカーは屋根開けてナンボである。停車しなければ意外に雨も吹き込まない。行きは高速を中心に走り回ったが、オープンカーとは思えない剛性感はド素人でもわかる。ダラダラ走っても、ちょっと飛ばしても(試す度胸はなかったがおそらく本気で飛ばしても)、至って素直ないい車という感じであった。

行きがアクアライン経由だったので、帰りは内陸部のワインディングを挟みつつ湾岸周りで帰ることにした。そしてこの車の真価はワインディングにこそあるのではないかと知る。そういえばミッドシップの車も初めて──ホンダバモスをMRに含めていいのであれば二台目──だったのだが、とにかく鼻先が軽い。NAでよく回るということもあってそこそこの曲率のコーナーを駆け抜けていくのが本当に楽しいのだ。

水平対向エンジンで同程度の出力を持つオートマ車ということで、普段乗ってるインプレッサ(GRF)との共通点も多少あるのだが、どちらもワインディングを走る程度では一切危なげないのは同様ながら、操作感はかなり異なる感じであった。ボクスターはNAかつMRということもあってか、全てが軽快。それも十二分な剛性を備えた上で軽く動くという感じで、不安感が全くない。対するインプレッサはガッシリした箱がある程度の重さを持って走っているようなイメージである。

スポーツATとしては定評のあるティプトロも、国産のそれらと比べると回転数を高めにキープすることを厭わないようで、燃費とかはともかく軽めのスポーツ走行では意図にマッチしたギアをセレクトしてくれる。そしてスイッチ一つでスポーツモードに入ると瞬時にサスは締め上げられ、排気音はより甲高く音色を変える。わざとらしいくらいの演出だが、求めていたものがこういうわかりやすさなのもまた事実である。

というわけで、ワインディングを十分に堪能したところで時間切れが迫ってきたのでそのまま高速に乗り、湾岸線を抜けてレインボーブリッジ周りで再び都心へ。給油の後なんとか時間通りに有楽町の店舗への返却を終えた。

さんざん乗り回した結果、6時間で200km以上メーターが進んでしまった。まぁドライブというとやはりこのくらい走らないと……という感じである。

レンタカーとしてのサービスの感想は、キャンペーン価格であれば興味がある人が全員一度は体験すべきだと思うくらいだが、一般価格だと少々高いように感じる。何故なら、有楽町出発ということで1-2時間では都心から出られず、自由に走り回るのには不便ということがある。ガラガラであれば都心環状線を流すのも楽しいとは思うが、営業時間内となるとノロノロ運転の首都高を流していたらもう返却時間ということも十分あり得る。

制限速度以上でぶっ飛ばせとは言わんが、このような車を借りたからにはせめて自分のペースで走れるところに行きたいものだし、そのようなルートは都心にはほとんど存在しないだろう。故に、半日程度のパック料金で多少値引きが入るのであれば再度利用したいなーと思っている。こうしたスポーツカーを購入して維持するのは大変なことなので、普段は普通の車に乗っていても、年に数回こうした車に乗って気分転換するというのも十分アリだと思うのだ。

車種としての感想は、まとめるならカメラ趣味でも感じる舶来モノの絶対性能の素晴らしさと、国産モノの相対性能の素晴らしさといったところだろうか。確かにもうポルシェはホント素晴らしかった。金があれば欲しい。そりゃ世界中のメーカーがお手本にもするわ、と納得である。ただ、この車限定車ということもあるがお値段は1000万である。

それに比べると、国産車はとりあえず出力が同等なら半額から1/3の値段である。例えばの話だがニュルブルクリンクのタイムで同等とかでもいい。実際GRBとかならたぶん良い勝負するだろう。そんで400万くらいである。

仮に官能性とかそういった部分も含めて舶来モノの性能が100だったとして、国産モノの性能は80くらいかもしれないが、それが半額や1/3で手に入る。これって、カメラ趣味でライカとかに対して思っていたこととほとんど同じである。そう考えてみると+20を埋める為に支払う金額というのが「趣味」の実態なのかもしれない。ともかく、そういう感想を抱いた。

ちなみに、ポルシェ乗ってから急に自分の車が色褪せてしまったような気がしたので今週になってインプレッサ乗り回してきたが、やっぱりいい車だった。少なくとも今の自分にはこれ以上は要らんかな。

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RICOH GR