読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

インターネット

無名サイトのつづき

業務用スキャナを使う -PFU fi-6140とScanSnap S500比較編-

前回お伝えした通り、一時の気の迷いから自炊(書籍の電子化の方)を再開してみたところ、ScanSnapが壊れて追加購入まではともかく、最終的には業務用機であるPFU fi-6140を導入するに至った。

なんでこんなことになったかというと、ついうっかり写真工業誌400冊セットというのを購入したからである。休刊直前までの約30年分ほぼ全揃いというのはもはやチマチマ集めるのは無理と判断したので清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入した。おかげで段ボールを運ぼうとして腰を痛めかけたり文字通りの本の山によって家族から白い目で見られるようになったりした。つまり、一刻も早くこの山をスキャンによって崩さなくてはならないのである。

さて、カメラ誌としては薄い方である写真工業であっても、いくらなんでも400冊のスキャンは骨が折れる。現代のフルHD程度のタブレットで読むのであれば解像度300dpiは欲しいしカラーページも残したいのでオールカラーでスキャンしたいところだが、手持ちのScanSnap S500だとこの設定では6枚(12ページ)/分しか読み取れないのだ。ちなみに写真工業誌はだいたい130Pくらいある。一冊10分長かかるとなると、400冊が終わるのは目眩がするほど先のことになりそうである。

ScanSnapの現在の最新バージョンであるix500であれば25枚(50ページ)/分まで速度は高められているが、とにかく大量の本をスキャンしたいというニーズに対しては読み取り速度は速ければ速いほどよいというのが本音である。こうした中で、業務用機であるfiシリーズの型落ち機を中古購入するというプランがにわかに現実味を帯びてきたのだ。

もちろんScanSnapにあるような無線LANクラウド連携やPCレス単体スキャンなどの便利な機能は搭載されていない。しかし、ことスキャンの基本性能に関して言えばやはり業務用機は圧倒的に高性能なのである。

購入したfi-6140は2011年には終売している古いモデルだが、スキャン速度はS500どころか現行最上位機のix500すらも大きく超えるカラー300dpi読み取り40枚(80ページ)/分である。S500からすれば超が付くほど高速と言って良い読み込み速度で、ブレーキローラーや超音波重送検知などのScanSnapでは最近の上位機にしか付いていない機能も標準で搭載されている。

しかし、fiシリーズは新品で買うと非常に高価な業務用機(定価は10万以上していた)ということもあり、ネット上にもあまりこの辺りの機種を自炊用途で使用した時の感想は多くないというのも事実である。

正直に言って業務用機という響きと安かったから(こればっかりだなこのサイト)半ば悪ノリで買ったという面も大きいのだが、実際に使ってみるとfiの基本性能の高さに感動したので、この感動を誰かに伝えずにはいられない。ScanSnap買うよりみんなfi買おうぜ、と言いたくなる程度には素晴らしい結果をもたらしてくれたのだ。

というわけで、手元にあるScanSnap S500と簡単に比較してちょっとした解説を書いてみることにした。

f:id:seek_3511:20160417103130j:plain左がPFU fi-6140、右がScanSnap S500である。サイズに関しては一回り大きいが、かといって業務用機と聞いて身構えるほど馬鹿でかいというわけでもないというのはこの写真からも感じて頂けると思う。実際他社ドキュメントスキャナの中にはこの程度のサイズの製品もあるので、置き場所に困るというほどでもないと思われる。

ただし、供給部のトレーはScanSnapのように折りたたむことは出来ない。取り外すことは出来るが、気の利いた収納場所が用意されているわけでもないので、通常は付けっぱなしになることだろう。未使用時はここからホコリが入ってしまうので、使用前には簡単にエアブローでホコリを飛ばしたりする必要があるが、これはカバーされているScanSnapであってもそうしたホコリに起因するスジ防止の為には毎回清掃するのが望ましいと考えているのであまり問題とは考えていない。

というか、原稿自体をフィードするこのタイプのドキュメントスキャナにとってホコリはつきものであり、可能であれば毎回読み取り面を拭き取りたい。これが入ってしまったばかりに全頁スキャンし直しみたいなことはよくあるので、急がば回れといったところである。

f:id:seek_3511:20160417103205j:plain

給排紙側のトレーを展開すると、両者のサイズ的な差は更に縮まる。どちらもストレート排紙を目指したタイプであり、紙の曲がりが少ないことから比較的紙の厚みに左右されない方式である。単行本やカタログなどの紙質がほぼ一定の書籍はもちろん、表紙・カラーページ・モノクロページと紙の厚みと紙質が目まぐるしく変わる雑誌スキャンをメイン用途とするものにとっては大変ありがたい。

ScanSnapでの自炊のやり方について解説しているサイトでは、雑誌の表紙と記事ページの紙質の違いからこれらを分割して読み込むことを推奨しているところもあるが、今のところfi-6140であれば一括でセットしても不都合は起きていない。

ただし、S500を使用していたころは例えば表紙と1ページ目を一緒に重送してしまったり、逆に表紙がフィードされずに途中のページから読み取りが始まってしまい最後に表紙と裏表紙が連続でスキャンされたりといったことは頻繁にあった。

f:id:seek_3511:20160417103316j:plain

その大きな違いを生み出しているのが、給排紙及び原稿分離の機構である。

ちょっとわかりづらいが、手前のS500はゴムの爪で原稿を押さえているのに対し、奥側のfi-6140ではゴムローラーが装備されている。詳しい機構についてはググって欲しいが、これがブレーキローラーと呼ばれるもので、ゴム爪よりも分離の能力が高いため、重送が起こりづらいというのがメリットである。

また、fi-6140には超音波センサーも装備されており、万一原稿が重送された場合でも高い精度で検知して止めてくれる。重送が困るケースは多々あるが、例えば書籍を解体した際にノリ残りがあってページ同士がくっついたまま搬送されてしまうという、重大だがよくあるケースにおいて、原稿をそのまま巻き込んでいってグチャグチャになってしまうという悲しい事故も防ぐことが出来る。S500ではこうした事故を複数回経験したので、常にスキャナの前に張り付いて緊急停止出来る体制が必要だったが、fiであれば原稿セット後はある程度任せておける。

また、原稿の破壊には至らないまでも通常の重送も結構厄介なものである。例えば重送によってページが飛んでしまっても、完成したpdfを一枚一枚見てページ番号と付き合わせない限りはなかなか発見できない。運良く発見しスキャンし直しの上でAcrobatを使って結合する程度で済めば手間ではあるがまだマシな方で、酷い場合には原稿を捨ててしまった後に読み返していてページ抜けに気が付くケースすらある。この場合はもう後の祭りである。

このような不幸な事故を防ぐことが出来るというだけでも買い換える価値は存在する。S500では上記のような危なっかしい挙動があるので、スキャン中の約10分間スキャナの側にいて目視で異音やフィード不良がないか見ていないと怖かったのだが、fiに買い換えてからはチラッと目をやる程度でまったく不安がない。もっとも、スキャン自体も高速なので眺めていてもすぐに終わるのだが。

なお、インターフェースはどちらもUSBで、それに加えてfi-6140ではSCSIが使用出来るが、業務ユースでなければ今となってはこちらを使うことはほとんどないのではないかと思われる。ACアダプターはS500は16V、fi-6140は24Vで互換性はない。

余談だがスキャナというのは意外に必要電圧が高いようで、フラットベッドスキャナやフィルムスキャナでも24Vを要求するものが多い。24VのACアダプターはあまり多くないので素直に秋月などで探した方が早い。このfi-6140もジャンク扱いでの購入だったのでACアダプターがなく、秋月のアダプターで代用している。コネクタはそのまま使用可能であった。

さて、fi-6140はこのようなハードウェアの仕様から、未だにScanSnap現行最上位機であるix500よりも高速な読み取りを実現している。一方で、もし現時点での頂点を目指す場合はfi-7180がある。これは80枚(160ページ)/分なので予算があればこれを手に入れるのが間違いないわけだが、実売15万円程度とix500の三倍近い額になってしまう。

新品と中古機の値段を比べるのはフェアな比較とは言えないが、実際fiシリーズの中古はヤフオク辺りならわりと豊富で、少なくともix500を買うつもりであれば予算は足りる。また、中古機で心配なドライバやソフト類も他メーカーに比べれば入手しやすい。

やってみてわかったことだが、自炊というのはスキャナ自体の動作速度はもちろん、いかに細々したエラー停止や手戻りを少なくするかがスループットに効いてくる。そして残念ながら、様々な原因によってスキャンのスループットは悪化していく。

先に挙げた通り、雑誌の解体だと裁断箇所のギリギリを狙いすぎるとノリ残りで原稿巻き込みのリスクが高まったり、運良く止まってもその間スキャンは中断となり、再度捌いてからスキャンし直しといった事態にも遭遇する。

たとえ無事にスキャンし終わっても斜行がないか、ページ飛び、ページ順が狂っていないかチェックする必要があるし、もしそれらの問題があれば再度スキャンし直しというケースも多い。そうした作業を繰り返す中では、やはり業務用機なりに給排紙が安定していて、信頼性が高いというのは数値スペック以上の多大なメリットを感じるのである。事実、S500からfi-6140に乗り換えてから、以前はたまにあったページ順が狂うフィード不良には一度も遭遇していない。

fiシリーズは高速読み取りであったり、A3対応などのScanSnapでは埋めようがないニーズに対応出来るモデルも多いので、もしクラウド連携などの便利機能が不要で、ただひたすら大量のスキャンをしなければならないというのであれば、こうした業務用機を使うというのも選択肢の一つではないかと思うのだ。

ただし、操作は正直わかりにくい。そこで、次回は具体的なスキャンの流れについて解説できればと考えている。