読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

インターネット

無名サイトのつづき

ルノーで日産を見に行く男達 -実録変なレンタカーを借りに行く2-

昨年、ポルシェを知人と借りてみたはいいがやることがないので千葉までラーメンを喰いに行くという記事を書いた。

実のところ、あの記事以降も相変わらず変なレンタカーを探して乗ることに情熱を燃やしており、特に記事にはしていなかったがコペンであったりゴルフのカブリオレのレンタカーを探しては乗り回したりしていた。

さて、そんな中で前回同行した知人から日産座間の一般公開があるので行きませんかとのお誘いがあった。こういうメーカー工場併設施設の公開というのはたいてい平日しか受け付けていないので、平日有給取るのもかなりハードル高いなーと思っていたら、どうやら季節によっては土日も公開しているらしく、上手く土日の公開の予約を取ることが出来たのだ。

……と、それだけならば普通に電車で行って南林間駅辺りに集合すればよいだけの話なのだが、せっかくなのでということで何か車を借りていくことにした。自家用車使えよと言われればまったくその通りなのだが、実のところこんな時にふさわしい車の心当たりがあったのだ。

以前の記事には書いていないが、実は神奈川県内のオリックスレンタカーはたまにマニアックな車種をキャンペーンカーとして格安で貸してくれることがある。冒頭に書いたコペンなんかもそうであるし、現在はS660なんかも始めたようである。

この中に、現行のルノー ルーテシアを貸してくれるというキャンペーンがあり、発着店が小田原に限られるものの、なんと12時間借りてキャンペーン価格5,832円である。これはフィットとかの国産リッターカークラスを借りるよりも安いのだ。

借りられるグレードは1.2 ZENという普通のグレードで、当然のごとくスポーツグレードのRSやらGTではないのだが、これは欧州コンパクトカーはベーシックグレードで味わうのがよいというどっかのガイシャびいきの雑誌の言を信じることとする。というか、外車自体数える程しか乗ったことがないし、ましてフランス車は初めてである。

というわけで、朝イチ小田原で車を借りて箱根辺りを流したあとに座間までドライブし、また小田原に戻るという行程ができあがった。座間に行く為に箱根を経由するのだから、自分で考えておいて何だがトチ狂った行程である。

そして当日朝、時間通りに店舗に向かい真っ赤なルーテシアを受け取ると同時にアレコレ説明を受ける。ハンドルは右だがウィンカーは左、これはやっぱり仕方ない。んで、書き忘れていたが今回の車はDCT車で、実のところDCT車ってどうなのという興味がこれに目を付けた理由である。室内全体の雰囲気としては思ったほど国産コンパクトと変わるところがない。違和感があるのはスロットに差し込んで使用するカード型のキーレスくらいのものである。そんなわけで知人を駅で拾って、取り急ぎは箱根の山を登ってみることにする。

さて、コンパクトカーというととりあえず自分の中のベンチマークは以前乗ってたコルトラリーアートであるが、アレに比べるとだいぶワイド&ローだがボディがデカいというほどではない。

また、どちらもターボ車であるが、コルトは1.5Lのどちらかというとハイパワー指向のターボ、そしてルーテシアは今をときめくダウンサイジングターボという性格である。それでも118psあるのでそこらの国産コンパクトカーよりはパワフルというのは今さっき諸元を調べていて初めて知った。正直乗ってる時はコルトほどのパワー感はなかったのだ。

それでも、箱根新道の追い越し車線でアクセルを踏んでいくと必要十分程度のパワーは出る。このパワーはこれ以下だとかったるく、これ以上はいらないかもしれないという絶妙なところである。というわけで大観山ドライブインまで行ってみたのだが、残念ながら現地は視界十数メートルの霧模様。いつもであれば居るはずのスポーツカーの姿も心なしか少ない。というか駐車場の車の中からその先にある筈のドライブインの建物が見えない。

こんな視界では当然ドライブどころではないので、軽く流したら早々に退散。当初の予定では椿ラインに抜けたり芦ノ湖スカイラインに行ったりする予定だったのだが、ターンパイクの上側がこれではどちらに向かってもダメそうだということで、長尾峠から御殿場方面に抜けてR246で座間を目指すことにする。

途中、長尾峠近辺では多少霧もマシになったので少し早めのペースで流してみたが、正直このくらいの出力の車を少し高めの回転数を保って流すのは非常に面白いと感じた。ハンドリングは素直だし、スポーツカー的ではないがかといって退屈でもない。やっぱりこの辺りは多少なりとも国産コンパクトカーとの違いを感じるところであった。

ただし、DCTは思ったほどのダイレクト感ではなく、あくまでもジェントルめのセッティングのようだった。また、室内で手に触れるインターフェースはあくまでもATのそれなので、DCTという言葉から想像されるようなクラッチなしのMTを操っている「スポーティーな」感覚はない。感触としてはマニュアルモード付きのATやCVTとほとんど同じである。

ただ、R246をDモードで流している時にはその特徴はいい方に作用しているなと感じた。正直なところMTベースATということもあってシフトショックに身構えていたのだが、普通に市街地を流す分にはとってもフツーのAT車である。これにはちょっと拍子抜けしてしまった。ただし、国産オートマ車と感覚が異なる点というのはやはりある。

一つはクリープで、あるにはあるのだが、非常に動き出しが遅い。このため、渋滞追随などには非常に使いづらい。もう一つはこれもごく低速での動き出し~低速キープ時の挙動で、渋滞時のノロノロ運転などではギアを決めかねたり、苦しそうな素振りを見せる。流石にこれは、日本にはDCTって向いてないのかもねと思わせる挙動であった。

そうこうしているうちに日産座間工場へと到着。無料で構内の駐車場に止めさせてもらえるので、誘導に従って中へ入るとすでに駐車場は数台分埋まっていた。わざわざこのためにルノー車で来るような連中のことはさておき、駐車場を見る限りでは必ずしも現行の日産車ユーザーばかりが来ているというわけでもないようだった。

館内へと案内されると簡単な案内ビデオのあと、いよいよ保管庫内へ。最初のうちはお姉さんが各車について解説してくれるが、収蔵台数およそ300台ということもあって、全台数を解説していては日が暮れてしまうため要所を押さえながらテンポよく進行していく。特にメーカーでないと残せないであろうイベント関係の車両などが充実しているのは素晴らしいところだ。また、解説を飛ばされた車両についてもほぼすべて解説プレートが付いているので非常に親切である。

f:id:seek_3511:20160424152300j:plain

どのくらいの台数あるかというと、このパノラマ写真だけで一列分である。これが複数列ある。大まかに言って市販車ゾーンとレースカーゾーンに分かれており、市販車ゾーンはこの通りダットサンの時代から揃っている。このクラスになるとそれこそ博物館級であり、街で自走している姿は全く期待できないレベルの車両たちだ。

なお、これだけ貴重な車の数々なのでよく見るとところどころ車列から抜けており、これは世界各地のイベントやディーラーなどに貸出されているとのことである。訪問日はハコスカGT-Rなどが不在であった。故にもし全台数を見たければ複数回訪問しないとコンプリート出来ないわけであるが、そもそもこの台数だと一日だけではとてもではないがじっくり見ることは出来ない。

お姉さんの解説もそこそこにあとはフリー見学タイムとなったのだが、ここで素晴らしいのは手を触れなければ見学時の立ち位置は自由で、それこそ顔が映るほど近寄ってじっくりと観察したり、自分なりのアングルで写真を撮影することが出来る。華々しいレースカーもあれば渋いチョイスもあり、お姉さんの話では、一台を見るだけで自由時間を使い切ってしまった人もいるくらいだそうだ。きっとその人にとって思い入れのある一台だったのだろう。

というわけで、全部写真を撮るというのはとてもじゃないが無理であった。その台数に圧倒されて「へー」とか「ほえー」とか言いながら眺めてくるのがやっとである。

そんな中でも、何枚か写真を撮ってきたのでそれを掲載しておく。

ちなみに、観覧後のアンケートの自由記入欄でリクエストがあれば導入車両については随時検討してくれるそうである。最近ではそうしたリクエストからレストアされたばかりのダットサンベビーが導入されたそうである。

f:id:seek_3511:20160424152018j:plain

クリスプカットの初代シルビア。ちなみに白色の個体とこのグリーンの個体と二台置いてあったが、やはり初代シルビアというと個人的にはこのグリーンの印象が強い。

f:id:seek_3511:20160424150426j:plain

もちろんR380も置いてある。流麗なボディラインはこの時代のクローズドのレースカーならではのものである。時代はこのあとクサビ形のスタイルと巨大なウィングの二座席オープンへと繋がっていく。

f:id:seek_3511:20160424145133j:plain

今はなき横河ヒューレット・パッカードのロゴも懐かしいCカー軍団。ルマンカーということで、この並びには公認のためだけに作られたGT-R LMロードカーや R390ロードカーも並べられている。すぐ近くにZ32も置いてあるので「本当にR390のヘッドライトはZからの流用なのか」を確かめるといったマニアックな楽しみ方も可能である(確かめた)。

f:id:seek_3511:20160424152726j:plain

そして各世代のGT-R。この辺りはよく銀座ギャラリーや本社ギャラリーに貸し出されていることも多いが、世代ごとに見られるというのはやはりこの施設の素晴らしい点である。しまいには多すぎて有り難みがないとか罰当たりなことを言っていた覚えがある。

かように、写真を撮っているだけでもあっという間で、後ろ髪を引かれつつも時間切れであえなく終了となった。

言ってしまえば倉庫内に車が並べてあるだけなのだが、ある程度車に興味がある人間であれば、それこそが素晴らしいというのは共感してもらえると思う。土日公開の月は少ないとはいえ、平日も含めればかなりの頻度で公開されているので車好きであれば行って損はないだろう。運が良ければ搬出に立ち会えたり、一部の日程ではドアを開けてくれる日も用意されているらしい。

これが博物館であると入場料を取られるのはいいとしても、絶対に触れない展示台や柵などに囲われてしまうことになるし、この展示密度はそんじょそこらの博物館では勝てないレベルである。不満があるとすればただ一点、見学の時間が足りなすぎる、これだけである。願わくば、ずっとこの自由度の高い公開方法を続けて欲しいところだ。

というわけで、一切ルノー車で行く意味は無かったが大満足の座間記念庫見学であった。車好きにはホントにオススメ。