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インターネット

無名サイトのつづき

事後報告 -コミケで本を出しましたの経緯と顛末- [作成編]

出オチである。

だいたい言いたいことというのはこの記事のタイトルで言い切ってしまったのだが、この度開催されていたコミックマーケット90において、本を作って頒布した。もちろんこのようなことをするのは初めてである。結果としては概ね成功と言っていい結果を残せたのでここに経緯と顛末についてまとめておくことで、次回以降の反省としたり、同様に参加を検討している人に対して何かの参考になればと思い書き残しておく。

まず、そもそものコミケ参加の動機であるが、一応コミケ自体は何度か行っていた。ただその主目的というのは主に「人を撮ってみたい」という動機によるコスプレ撮影だった。これはこのサイトでも過去何度か触れていたが、数年やり続けてとりあえず自分なりに納得できるところまで来たので、前々回くらいからは知り合いに任せることにした。余談だがこの友人は回を重ねるごとに腕・機材ともにステップアップし、とうとう今回は終了直後から速報を流すレベルのカメコに成長した。そこまでやれと言った記憶は一切ないのだが、結果として適切な人材を選定したように思える。

で、そういう経緯もあって前回(C89)はカメコ行為もそこそこに、Twitterで知ってる人のブースなんかを回ってみようと思ってカメラ関係が配置されている辺りに行くことにした。そしてそこに出展されていたのが、今回のキーマンとなるAzmin氏(サークル「鶯谷光学工業」主宰)だった。元々Twitterではだいぶ前からフォローしていたものの、実はこれが初対面だったのだが、それにも関わらずブースに持ち込まれていたMZ-Sの話でずいぶん長いこと話し込んでしまった(今更な反省だが、これは販売妨害にも繋がりかねない行為なので適度に自制心を持ちましょう……)。そして、発行されていた本もブロニカ-Kマウントのアダプターを配管パーツでDIYするなどの絶対に商業誌には載らなそうなニッチでマニアックな内容であり、これが非エロ同人の世界なのかと感銘を受けた。

と、同時についうっかり「実はこれって自分でもできるのではないか」と思ってしまったのである。絵は描けないが、文章であればなんとかなるかもしれないんじゃないか……と。そして、これだけ多種多様なものが受け入れられている場であれば、ひょっとしたら自分が書きたいと思っていることもここに来ている人達のどこかしらには響くのではないかと、そんなことをAzmin氏と話しながら考えていた。そしてもし書くのであれば、このサイトで触れた内容をベースにすれば目処も立つという打算もあった。結局、その場では半ば冗談のような形で「なんか書くから寄稿させて下さいよ」という口約束が行われたのだった。

そういうわけで、今年の目標に「本を出す」が追加されたわけである。

そして年が明けた。当初は先方の本に寄稿という形で何か書くところから始めようと思っていたのだが、年明け後にCP+等で会ったり、何度か打ち合わせを経るうちに、こちらの文字数がだいぶ嵩みそうなのでこちら負担で制作し、置かせてもらう(委託販売)という形を取ることにした。この頃にはテーマも概ね「フィルムAFカメラの本」というところに決定し、一番語りやすく、ある程度元になる文も完成しているペンタックスのハイパー操作系の話をメインにすることにした。また、目標とする方向性は「新製品のメカ紹介とかがなくなって段々『もう新製品とかいいから自分たちの好きなカメラの話しようぜ!』という方向に傾き始めた00年代~廃刊までの写真工業のリスペクト」に決定した。このためレイアウトや判型等は元ネタに合わせた。パロディ本は同人誌の王道でもあるわけだし。

しかし、今年前半にはここまで決まっていたものの、そこからの歩みは極めてゆっくりしたものだった。その理由は「既にブログで公開したものをリパッケージして金を取っていいものか」という点にある。個人的な感情としては、既に公開したものに対して何も手を加えないでそのまま金を取るというのは買う側からすればガッカリだし、そもそもブログで見ればタダという問題がある。

かといって、別の媒体で発表したから昔はタダで見れたけど今は公開停止でお金払って見てねという一部で見られるようなやり方もしたくなかった。以前とあるサイトでやられて非常に不信感を持ったからである。

つまり、このブログを見てくれている人のことは裏切れない。かくなる上は──ブログにある部分は現在の知見でブラッシュアップ、そしてブログにない部分を大量に書き足すことである。元々は全部書きなおそうかとも思ったのだが、正直ハイパー操作系解説の辺りは我ながら良く出来ていたので少変更で掲載することとした。これであれば、コア部分はとりあえずタダで読める状態をキープしつつ改めてお金を取るという大義名分ができる。

これはナイスアイディアである……と思ったのもつかの間、結局それらは大幅な作業量の増大を意味するのであった。今回発行の本では、ハイパー操作系の話をメインにしつつも、その前後におけるペンタックスカメラの操作系を主要機種を取り上げて解説し、更にZ-1とMZ-Sについては個別レビュー記事も加えている。当初案では他の機種もジャンクで買ってきて書くとかK-1のレビュー書くとか実写作例入れるとかいろいろアイディアはあったのだが、最終的にとても間に合わないということでだいぶ削られた。とはいえ、このサイトに載ってない部分が半分以上あるので、このサイトを見たことがあってもなんとか納得して頂けるかな……と思っている次第である。

そういうわけでスケジュールは押しに押して結局本格的に仕上げにかかったのは7月からであり、本文完成の目処が立ったのが7月末だった。当時のAzmin氏とのやりとりを見ていると、7/24時点で10,000字完成というところだったらしい。このあと、退路を断つために7/30にTwitterで新刊発行の告知ツイートを行っている。つまり、概ねラスト二週間くらいで全体の半分くらいを書き上げる羽目になったということだ。しかし、文章は出来ても今度はそれを本にするという作業が居る。

今回のうちの本の場合、だいたい下記のような流れの作業が必要である。

1.本文を書く
2.挿絵・図表・写真等の撮影や手配
3.DTPソフトでそれらをレイアウトする
4.出力し、印刷屋さんに渡せるデータにする
5.本が完成し、受け取る
6.販売する

さて、7月末の時点で終わっていたのはこのうちの1番でしかない。仕方がないので説明等のための写真を簡易スタジオを組んで一日で全部撮影し、2番はクリア(と、思ったののだが書き足し部分や読み返しての校正を行って追加が必要と判断した場所などもあるので結局ギリギリで追加撮影した部分も多い)。3番はAzmin氏はWordを使用しておりInDesignも保有しているそうなのだが、うちにはOfficeの入っているPCがないためScribusというフリーのDTPソフトを探し当てて、基本的な操作を覚えてなんとかレイアウトを完成させた。写真工業リスペクトなので右開きの横二列組横書きである。Scribusには海外ソフトのため日本語縦書きが扱えないという致命的な欠点があるそうなのだが今回はそういう影響がない版組だったのが功を奏した。

ちなみに、ベタのテキスト書きには当初はどこからでも編集できる点を買ってGoogleDocumentを使用していたが、文章量が多くなってくるとやりづらくなってきたので、最終的にはEmEditorでベタ書きし、章立てごとにGoogleDocumentで切り分けるという手法で作成し、最終的にScribusで様子を見ながら詰め込んでいき、後から入れる写真を考えるというスタイルに落ち着いた。しかしこの方法だとあとで連結することになるので章立てで断ち切られた流れが通しで見ると不自然になったりしたので、アウトラインエディタとかを使用したほうがうまくいくのかもしれない。

というわけで、Scribusでレイアウト組みして本文は完成した。表紙はカッコいいロゴの一つも作りたかったのでPhotoshop(Lightroomの年間契約しているので使える)とかを引っ張りだして来たのだが、この作業に入ったのが既に8月に入ってからだったということもあって今からどうにかなるものではないと判断、結局MSペイントで作成している。困ったときのMSペイントである。

これらをレイアウトしたら、あとはScribusにはpdf出力機能が付いているのでトンボ付きpdfで出力して印刷屋さんに渡して入稿完了である。ちなみに入稿完了までのラスト一週間でWindows10のアップデートからPCが調子を崩してしまい、危うく落としそうになるもセーフモードでPCを立ち上げて無理矢理編集して送付するというエクストリーム入稿を行い冷や汗をかく羽目になった。(ちなみにこのPCはロールバックしたら別の不具合が出て8/15現在不動になっている。結局夏休みが全部潰れてしまった)

今回依頼した印刷屋さんはAzmin氏が元々使用しているところで、ある程度作業の流れが分かっているというところも大きかった。具体的にはオンデマンド印刷なのでかなりの短納期が可能とのことで、実際の納期も夜中のオンライン入稿から日付上の翌日で自宅着という速さだった。ただ、少部数だとなかなかコストを下げるのは難しいようで、当初捌けると思っていた見込みよりかなり多めに刷ったにも関わらずそれなりの単価になってしまった。ちなみにページ数は表紙込み34Pで、文字数はちゃんと数えてないがたぶん五万字くらいである。

というわけで、最終的なタイムスケジュールは下記の通りである。

1.本文を書く (2015年12/31~2016年8/10)
2.挿絵・図表・写真等の撮影や手配 (2016年7/30~2016年8/10)
3.DTPソフトでそれらをレイアウトする (2016年7/30~2010年8/10)
4.出力し、印刷屋さんに渡せるデータにする(2016年8/10)
5.本が完成し、受け取る(2016年8/11)
6.販売する(2016年8/14 コミケ三日目)

なんかこう参考になるのかならないのかよくわからないデータだが、とりあえず現代においてはそのコミケ開催前週の時点でもオンデマンド印刷を使えばまだ手直しの余地があるということでもある。もしこの辺をもう少し迅速に行えばコストダウンが可能ということであれば、次回はその辺りをもう少しなんとかしたいところではある。

というわけで本は完成したのだが、文字数が多くなりすぎたので次回のコミケ当日編へ続く。