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無名サイトのつづき

電動キックボードを考える(1) 電動キックボードに乗ってみよう・準備編

以前より度々話題にしている通り、最近は原付一種のバイクを直してはたまに動かしている。先日もツーリングに出掛けてきたが、そこで感じることは原付一種の法規制の雁字搦めぶりである。

特に30km/h制限と二段階右折はことあるごとに「これさえなければ」と言われる原付一種の代表的な制限であるといえる。とはいえそんな原付一種も(だからこそ?)市場規模は縮小の一途を辿っている……というのもまたこれまでの記事に書いてきた通りである。

一方で最近は新たに「原付のようなもの」として電動キックボードが世間を賑わせている。当初原付一種の枠組みで取り扱われていた筈のそれらは、気が付いたら「特定小型原付」というよく分からない枠組みが新設されることとなり、いつの間にか市民権を得ようとしている(といっても、これらが市民権を得ているというのは一体何処の世界の話なのか? と感じるのも確かである。今後述べるが、今のところ都心部でしか見かけない)。

そしてまた、この特定小型原付という制度やそもそも電動キックボードという存在に対して懐疑的な意見や不安を訴える声もネット上には多い。個人的には既存の枠組みでさえ歪みがあちこちに見えるのに、その上更によく分からないポジションの乗り物が突然増えたように見えるのだから、それらの不安ももっともな意見だと思う。

……とはいえ、そう思いつつも実のところ電動キックボードには乗ったことがなかった。通販等では法規的に平気なのか怪しい製品も含め多数販売されているのが見つかるが、流石にこれらを購入して検証するほどカネもヒマもない。原付登録が必要ならば尚更である。

ただ幸いにして一部地域ではシェアリング型サービスが行われている。こうしたサービスを利用することで電動キックボードとは実際にどのようなものなのか、世間で言われているメリットやデメリットは果たして正しいのかを知ることは出来るだろう。このため思い立ったが吉日、一日使って乗ってみることにした。すると様々な論点や疑問が見えてきたので、ひとまず体験のまとめとしてシリーズで書いてみようと思った次第である。実際に乗ってみるとこで、良くも悪くも本当に色々な発見があったのだ。

まず初回として、乗車までをまとめていきたい。

さて、電動キックボードに乗ろうとした時、先の通り自分で購入する以外の選択肢(大半の人はこちらであろう)としてはシェアリング型サービスの利用がある。現在全国の各所で試験的にサービスが行われているようだが、関東在住であればLUUPが候補として上がるだろう。

luup.sc

電動キックボードをメインにサービスを展開しており都内(山手線近傍)であればかなりの範囲をカバーしている。本記事作成時点では山手線の下側3/4程度の範囲でかなり密にステーションが設置されている。山手線で言う目白や上野以北には現状ステーションが存在しないが、思った以上に広範囲に展開していると感じられるのではないだろうか。

LUUPの利用にはアプリ上でクレジットカードの登録と免許証の提出が必須となっている。現状のLUUPの電動キックボードは小型特殊自動車としての登録の為何らかの免許が必須であり、原付免許以外を持っていれば運転出来る。

乗車前の時点で不親切だと感じたのは、航続距離に制限がある(最大40km程度とされる)電動キックボードであり、サービスの提供範囲も制限されている(これは前述の特区外ではヘルメット着用義務の免除がない為と思われる)にも関わらず、PC版サイトからはその範囲が確認出来ず、走行可能範囲がアプリでしか確認出来ないことである。

目的地がギリギリ提供範囲外であったり、特定の道路が使用出来ないといった制限にぶち当たる可能性があるにも関わらず、事前にPCからそれらの制限を確認出来ないというのは(アプリ版と同等の表示が出来ない理由もなさそうなので)とても不親切に感じた。実際の利用も含めてアプリベースでの使用になる為仕方ない面はあるが……。

さて、LUUPを始めとした電動キックボードのシェアリング型サービスの特徴としてよくアピールされているのが「ヘルメット不要」という点である。電動キックボードは現状一部の事業者が行政と折衝した結果、現在は小型特殊の枠組みを元にアレンジされた法規の下で(特区内で)運営されている。

この結果として出力制限(速度制限)やヘルメット不要、一部道路の通行可否などが既存の原付一種とは別に定められているのだ(逆に言うと、これらのサービスではない自前の電動キックボードは現状では原付一種として扱われることになり、ヘルメットを始めとした法規は原付一種に準ずる……はずである)。

つまり、現時点において電動キックボードという枠組みの中でも「特定の運営者により認可を受け、原付一種とは異なる法規が適用されるもの」と「原付一種(出力によっては二種以上も可能性としては存在する)に準ずるもの」があるのだ。いずれこれらは新たに生まれる特定小型原付という枠組みに入ると思われるが、もうこの時点でよくわからなくなってくる。

取り急ぎ、今回はLUUPの利用を前提とするので前者の枠組みとなり、ヘルメットは不要ということになる。さて、今回利用してみてこのヘルメット不要という点がサービスにおいてもキモとなる部分であるように感じられた。

それは何故か。

まず、ヘルメット不要というのはあくまでも「ヘルメットを着用しなくても法に触れるわけではない」ということであり、万一の事を考えれば当然ヘルメットはあった方が良いということになる。こうしたことからLUUPもヘルプページでは一応着用を推奨している。

しかし、この「推奨」は正直言って欺瞞ではないかと感じる。

なぜなら、こうしたサービスは「町中のそこら中に利用可能な電動キックボードがあり、利用者は思い立った時に手ぶらでそれらを借りて返せる」ということを実現しようとしており、現状もほぼそのようになっている。また、ヘルメットを希望する顧客に対して貸し出すようなこともしていない。つまり、「推奨」にも関わらず事実上ヘルメットはないものとして扱われているのだ。

考えてみよう。もしヘルメットが必須であれば利用者は最初から『今日は電動キックボードに乗るからちゃんとヘルメットを用意しなくちゃ』と思い、自前のヘルメットをカバンに詰めて、それを着用して電動キックボードを利用する……ということになる。

さて、原付等を含めたバイクの保有者であれば必ず二輪用ヘルメットを保有しているだろう。また自転車の場合だとロードバイク等のユーザーなら自転車用ヘルメットは必須装備だろう。だが、ママチャリ等まで裾野を広げると自転車を持っている全員が必ず持っているというほどでもない。ましてそれらの車体を持たない者にはヘルメットは縁遠い存在である。

つまり、もしヘルメットの持ち込みが必須だった場合それ自体がネックとなる。電動キックボードの為だけにユーザーにヘルメットの購入を強いるのは無理筋だろう。

また、仮にヘルメットは既に持っているとしても、ヘルメットを持ち込むということ自体難易度の高い行為である。ヘルメットというのは被っていない時は単純にあまりにも邪魔なのだ。これらを手荷物に移動するのはあまり現実的ではない。

とはいえ、今回の場合は初めて乗る乗り物なので流石にヘルメット未着用は危ないかと思ったのも確かである。ただ、保有している原付用のヘルメットは(他に車でサーキットに行ったりする都合上)アライのフルフェイス型で、これを持って行くのは正直無理があると思った。そこで妥協点として今回は自転車用のヘルメットを家から持ち込むことにした。これにしたってリュック型のカメラバッグの大半を埋めてしまう大荷物なのだが、リュックに入れて背負えるだけフルフェイスのヘルメットよりはマシである。

なお、LUUPとしては一応PCSマークとSGマークの付いたヘルメットを「推奨」としているようである。ただ実際問題、推奨されていたとしておそらく(今回のようなことをしなければ)誰もヘルメットなんて持ち込まないだろうが。

先の通り町中のそこら中にある電動キックボードを勝手に借りられて勝手に返せるというのがこうしたサービスの根幹だからである。ここにヘルメットの要素が絡むと途端に面倒になってくるのだから、本音を言えばヘルメットなんて無き者として扱いたいくらいだろう。しかし真っ先に安全性について突っ込まれる乗り物でもあり、触れないわけにはいけないというジレンマも感じる。

これは次回以降詳述するつもりだが、実際のところ電動キックボードはスピードが出ないからヘルメットを着用しなくても安全……とは一切思えなかった。車道を走る以上、車に突っ込まれる可能性もあるわけで、それはこちらがスピードが出なければ防げるというものではないからである。

ただ、いったん安全の話を横に置いておくと、手ぶらの状態で好きな時に借りて好きなときに返す、これが成立しないのであればこうしたシェアリング型サービスは即座に輝きを失ってしまう……というのもまた確かだ。こうした電動キックボードが行政への働きかけによる実証実験や、特定小型原付という枠組みを生み出してでもヘルメット着用義務を外した(ように見える)のは、こうしたシェアリング型サービスという前提があってのことではないかと思える。

というわけで、安全面については多いに欺瞞を感じるところだが、法的にはこれで問題なく、また心配であれば(おそらくそんなことをする人はほぼ存在しないだろうが)ヘルメットを持ち込むことも出来る。これらはいわゆる本音と建前であり、それはそういうものなので仕方ないと思うことにしよう。

まだ乗ってもないのにこの文字数。次回乗車編に続く……はず。

ノートパソコンの怪異

インターネット上にはいったいどうしてそうなるのか、普通の考え方では予想も付かない因果関係により発生した事象を理詰めで解決するタイプの小咄があり、一つのジャンルとして確立している。代表的なところで言うと次のようなものだ。

cpplover.blogspot.com

gigazine.net

gigazine.net

togetter.com

これらの事象よりは小粒だが、似たような一見すると不思議な経験をしたことがあるので書き残しておきたい。ちょっとした怪異のお話である。

話は数年前に遡る。

当時職場ではパナソニックのLet's noteが各社員に支給されていたのだが、ある時期から奇妙な症状に悩まされるようになった。メールを書いていると、思いもよらないタイミングで画面が真っ暗になり、電源が落ちてしまうのだ。

幸いにして電源を入れ直すとまた復帰するのだが、再度メールを書き始めるとまた電源が落ちてしまう。しかしこの症状も不定期なもので、例えば先程打った文面を再度同じように入力しても今度は起こらなかったりする。こんなことが日に数回のペースで起こっていた。

当初疑ったのはメールソフトやIMEの不具合であった。アップデートを試したり、それでもダメなら別のソフトを入れてみた。しかし、努力も虚しく症状が解決することはなかった。

次に疑ったのはハードウェアの不具合である。電源が落ちたように見えたので、電源アダプタを変えてみたり、バッテリーを変えてみたり、あるいは電源が落ちた際に叩いていたキーボードのキーを執拗に押し続けてみたりした。しかしこれらもまたハズレであった。

それどころか、こうした意図的なテストをしていると再現しないのに、ふとメールを書いていると突然電源が落ちるのである。まるでトラブルシュートの努力をあざ笑われているかのようだった。

このような症状はひょっとして他の社員にも出ているのではないかと思い、同じ機種を使用している同僚にも聞いてみたのだが、不思議なことに誰も心当たりがないという。このような症状に苦しんでいるのは自分ただ一人らしく、実際にネット検索でもこのようなトラブルの類例を見つけることは出来なかった。

こうしたことが続いたため、しまいにはだんだん薄気味悪くなってきた。「原因不明」「タイミング不明」「自分だけに起きている」「解決方法がない」……これはまさに怪異と言って差し支えのない出来事である。

ある時、別件の修理で来ていたメーカーの担当者にふとこの出来事について伝えると担当者もそのような症状は聞いたことがないとのことだった。しかし、二人で可能性を検討し、改めて考えたところ、ある一つの可能性に行き当たった。

……当時スマートウォッチを使い始めたのだが、このバンドをApple Watchのようなミラネーゼループのバンドに変更していた。便利そうだしカッコよかったからである。これは通常の時計バンドのようなバックルで長さを調整するのではなく、任意の位置でマグネットを使って止めるようになっていた。

ところで、現代のノートパソコンは省電力制御の為に蓋が閉じると即座にスリープするようになっているが、かつてはメカニカルなスイッチでこの蓋の開閉を検知していた。だが、現在は洗練された見た目を実現する為に各種のセンサーがそれを担っている。このため、何処にどのようなセンサーが付いているのかは外観からはわからなくなっている。

……もうお分かりだろう。この世代のLet's noteの開閉検知センサーは実はパームレスト部に埋め込まれた磁気センサーが担っていた。持ち歩く為に液晶を閉じると、画面側に埋め込まれた磁石がパームレスト部にあるセンサーに接近し、それによってパソコンは閉じられたと判断してスリープに移行するのである。

タネを明かしてしまえば簡単なことで、メールを書く時に英数変換の為左手でFnキーに手を伸ばすと丁度手首はそのセンサーの上を掠めるように移動する。するとバンドを止めている磁石もまたそのセンサーを掠めていく。これによりパソコン側は磁力を検知→蓋が閉じられたと判断し、即座にスリープに移行していたのだ。だからこそ、ユーザーには「メールを書いていたら突然電源が落ちた」ように見えていたのだ。

実際には手首の軌跡次第で反応しない場合もあり、また社内には同様の時計をしている者もいなかったことから、症状はランダムで他の社員には心当たりがなかったのだ。もちろん翌日からスマートウォッチは純正のバンドに戻されることとなり、この不可解な挙動もウソのように収まった。

見えないけれどもそこにある、そうした力のことを怪異と呼ぶのであれば、目に見えない磁力によって引き起こされたこれもまた怪異と言って差し支えないのではないだろう。もちろん幽霊の正体は枯れススキであったり、今回の場合はオシャレなバンドだったりするわけだが。

続・続HOW TO GO

また富岡駅に行ってきた。

震災から4年後となる2015年3月に震災後初めて訪れて衝撃を受け、そこから4年後となる2019年3月にも再度訪れているのでこれで三度目となる。19年の訪問時には(これまで4年ごとに訪れているので)次は2023年だろうかなんて書いていたが、今回はたまたまちょっと早めの訪問となった。

seek.hatenadiary.jp

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訪問の理由はというと、夜ノ森駅の桜並木の見物に来たついでである。

夜ノ森駅周辺は昔から桜の名所として名高かったらしく、福島出身の知人にもお勧めされていたのだが、その夜ノ森駅というのはこの富岡駅の一つ先(北側)──つまり、長らく一般人が立ち入ることが出来なくなっていたエリア──のため、これまで見に行くことはなかなか叶わなかった。

今回はたまたま開花時期、天気、そしてヒマの三つが揃ったので、一念発起して念願のお花見のための訪問と相成ったわけである。そしてその手前に立ち寄ることで、三年ぶり三度目の富岡駅訪問にもなったのだ。

……三年ぶりの富岡駅は、前回予測したように何もかもが変わっているというほどでもなく、パッと見は前回とあまり変わっていないような印象を受けた(当時も既に駅舎は新しいものへと建て替えられていた)。

しかし、前回記事の時点ではここから北側へは繋がっていなかった鉄路が現在は全線通じており、訪問時も電車が行き来していた。また前回はなかった海側へ通じる跨線橋が完成しており、その先には未だに新たな堤防が作られていた。f:id:seek_3511:20220410131440j:plain

こうしてみると、もはやここへは何か理由を付けて来る必要なんてもうないのかもしれないと感じた。かつては色々な意味で行きにくい場所だったのだが、もはやそのような場所ではない。普通に来て、普通に見て、普通に通過していけば良いのである。既にそういう状況であり、かつての「特別さ」みたいなものは既にここにはないと言える。

……で、この直後に訪問した夜ノ森駅周辺では「普通に建物はそこらにあるのに生活感がない街」「そこにあるのに開いていない店」「2011年当時のままの自販機」「六号線の徒歩等通行制限」といったものに触れることになり、未だに「特別さ」が存在してることを痛感することになった。とはいえ、今回普通に駅周辺に立ち入ることが出来て花見が出来た以上はいずれそれもなくなるだろう。

そうでなければならないのだ。

Googleマップの抜けないピン - ゾンビデータの倒し方

本記事は当ブログにしては珍しい普通のお役立ち記事として作成している。おそらく同じ事で悩んでいるユーザーは多いと思うので、参考になれば幸いである。

Googleマップには「マイプレイス」という、各地点にピンを打って保存する機能がある。このピンはマップを開いた際に地図上に表示されるし、特定のグループ名を付けて保存することも出来る便利な機能である。このためネット上で気になった店や場所なんかを探しては一種のブックマークとして保存している人も多いだろう。 

このマイプレイス機能は住所に限らずその住所上に存在するGoogleマップ上のスポットデータに対してもピンを打つことが出来る。例えば「東京都千代田区千代田1-1」という住所そのものを「保存」することも出来るのだが、一方で東京都千代田区千代田1-1で検索してそばに表示される皇居のスポットデータを「保存」することも出来る。

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後者についてはスポット情報として各種のデータが集められており、例えば公開されている時間だったり、紹介している宮内庁のウェブページへのリンクなどが集められている。このため、多くの人は住所ではなく実際にはこちらのスポットデータを保存していることが多いだろう。

で、この機能、非常に有用なのだが困った点が一つある。

スポットデータには改廃があり、たとえば飲食店などは早ければ数ヶ月で閉店し次のテナントが入ってしまう。このため、地図データやその上にあるスポットデータは常に最新のものに更新されていくのだが、この古いスポットデータをマイプレイスに入れていると、マイプレイスから削除出来なくなってしまう場合があるのだ。これを本項では死んだデータ……つまりゾンビデータと呼ぶこととする。

このゾンビデータだが、スポットの削除ステータス(?)には何段階かあるようで、手作業ですぐに削除出来る場合と出来ない場合がある。例を挙げて説明してみよう。

まず、現役施設(?)の場合は、このようにマイプレイスのリストから解除することが出来る。ピンをクリックすると表示されるメニューから、保存に関するチェックボックスを外せばそれで終わりである。

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次に「閉業」となっているがデータ上はまだ残っているパターン。これを仮にゾンビデータレベル1とする。この場合も同様である。閉業状態になっているとはいえ、かつて現役であったころのwebサイト等、各種データは相変わらず残っている。この状態であればチェックボックスも生きているため、この画面からチェックを外すことが出来る。

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ただ、閉業となっているためこのデータがこの状態(編集可能な状態)で残り続けるかというとそうとも限らない。しばらくすると次の段階(レベル2)に移る。問題はここからである。

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レベル2からは、マップ上にピンが立つのに、その場所にはもはや元になるデータがないため、マップ上のピンをクリックしてもそもそもこの場所がマイプレイスとして認識されていない。このためクリックしたところで先のようなメニューも開かなくなるためマップからはマイプレイスからの解除が出来ないのである。

ここに何があったのかはわからないが、ただピンだけが残っており、しかもこのピンを削除する方法がない。これがゾンビデータのゾンビたる所以なのだ。

なお、ここまで来るとマップ上からは消せないのでもはやたいした意味は持たないのだが、更にレベル3とでもいう状態があり、こうなるともう住所すら表示されずに緯度経度表記となる。こちらも同様にクリックしても何も表示されなくなってしまう。

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これらレベル2や3のデータは、上記の通りもはや地図上からクリックするだけでは消すことが出来ない。そこで、ここからは削除方法について解説する。

Googleマップ→メニュー→マイプレイスと移動すると保存したマイプレイスのリストが表示される。消したいデータがあるリストを表示して、さらにメニューから「リストの編集」を押すと個別に削除ボタンが表示されるようになる。この画面であれば、ゾンビデータであっても消すことが出来るのである。

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ただしこの画面は信じられないくらいにポンコツで、まず初期状態では新しい順に数十件しか表示されておらずスクロールする度に都度読み込まれていくのでまず全てスクロールしないと全件表示が出来ない。もちろんソートや絞り込みなんかも出来ない。なので、数十件単位であれば手作業で見付けだしてチマチマ削除することも可能だが、数百件のデータがあるとなかなかそういうわけにもいかない。例に挙げている中古カメラ屋データなどは全国のデータを打ち込んでいったせいで、軽く数百件はある。これをいちいち見ていくのはとてもじゃないが追いつかない。

というわけで、次はどうやってこのリストから効率的にゾンビデータを見付け出すかである。この編集画面は地点名と住所しか表示されなくなるため、先の閉業等のステータスを参照できないためどれを消して良いのかわかりづらく、非常に扱いにくい。

……なのでちょっと力業で申し訳ないのだが、先のゾンビデータレベル3の特徴である「住所データが消滅した結果表記が緯度経度になる」というのを逆手にとって、12,13,14などでブラウザによるページ内検索をすれば、日本国内であれば東経120-140度の範囲には収まるため探し当てて削除することが出来る(店舗の場合は基本的に住所があるはずなので、店舗等のリストの中で緯度経度に変更されているのは必然的に住所が吹き飛んだレベル3のゾンビデータということになる)。

もっとも、この方法は未だに住所が生きているゾンビデータレベル2に対しては使えないわけだが、レベル2については仕方ないので住所をメモしておき、それで検索する他にないだろう。ここら辺がちょっと煮え切らない結論で申し訳ないが、それでも削除自体は可能なので、放置しておくよりはマシである。

この記事が読者諸氏のGoogleマップの整理のお役に立てれば幸いである。

ペヤング綴りという概念

本稿は当ブログの過去記事「ゆめタウン読みという概念」の精神的続編となっている。このため、当該記事をお読みになっていない方はまずご一読頂くことをお勧めする。

seek.hatenadiary.jp

……さて、毎月のように数多の新製品が登場しては消えてゆくカップラーメンにおいて、カップ焼きそばという製品は比較的地域性が残っているジャンルであるように感じられる。有名どころでは北海道におけるやきそば弁当や東北におけるバゴーンのように、その土地で深く愛される製品が存在しているからである。

関東におけるペヤングソース焼きそばもまた、そうした「ややローカル」の香りを残す製品の一つであると言えるだろ。現在では全国発売となっているが、かつては東日本を中心に流通していたため、現在でも知名度は西低東高(?)となっている。

こうした地域性の存在がインターネット普及期においては面白がりの対象となり、また各社がフィルム式湯切りに移行する中で頑なにプラ蓋を続けていたことで「だばぁ」は一種のネットミームにもなった。しかし異物混入がそのインターネットで拡散することにより存続の危機に見舞われたのもまた記憶に新しい(なお、このトラブルからの復活時に包装仕様の見直しにより遂に湯切りがフィルム式となり、だばぁも発生しなくなった)。

そして復活以降は根強いファンに支えられつつも、新たにバズりを意識したかのようなサイズ・バリエーション、そして辛さといったちょっと頭のネジが外れたかのようなメニューを連発して現在も話題を振りまいている。

特に激辛シリーズなどは一種のベンチマーク的に機能しており、各所のレビューを見る限り美味しさというよりは純粋な辛さを追求した製品のようで、絶賛よりも怨嗟の声の方を多く見かけるほどだ。そういう意味では、数あるインスタント食品の中でもトップクラスにインターネットと親和性の高い食品だと言えるだろう。

さて、そんなペヤングの名前の由来は公式サイトにある通り、発売当時カップ麺が袋麺に比べて高価だったことから「若い人にも分け合って食べてほしい」という願いを込めてペヤング(ペア+ヤング)という名前になったとのことである。最近はもうペアでも食べ切れないだろみたいなのたくさんあるけど。

というわけで、語源の綴りはは"Pair"+"Young"ということになる。ここまではいい。

ところが、製造元であるまるか食品の公式サイトのドメインは「http://www.peyoung.co.jp」なのである。そう、語源は"Pa..."なのだが、表記は公式に"Pe"なのだ。

しかし、ここで一つの疑問が生じる。

読みを重視して"Pe"+"Young"にするのであれば、いっそのこと"Pe"+"Yangu"でもいいのでは? ということである。つまり、読みを活かして両方ローマ字綴りにすればいいという話である。ただでさえ”Pe”が異彩を放っているのだから、むしろ続くYoungが英字綴りである必要はないようにも思える。しかし実際にはそうなってはいない。

ここで出てくるのが冒頭の「ゆめタウン読み」である。あちらは"You"+"me"という英語の二単語を「ユー(英語読み)」「メ(ローマ字読み)」と読ませるもので、このチャンポン読みに違和感と特異性があった。

翻って今回のペヤングは"Pair"+"Young"が「ぺ(英語の発音)」「ヤング(英語の発音)」であるにも関わらず、その綴りが発音に引っ張られて"Pe(ローマ字)"になってしまい、一方で"Young"はそのまま残されたのである。もちろん、既にペヤングはこの組み合わせで一語の商標となっており、その綴りが(たとえ英語のPairが語源に存在しているとしても)"Pe"であろうとなんの問題もない。

しかしそうであったとしても尚、この"Pe"+"Young"という組み合わせにはゆめタウン読みに通じる違和感が存在していると言っていいだろう。

これらを表にまとめるとこのようになる。

つまり、ゆめタウン「表記が全て英語ベースだが読み方が一部ローマ字ベースになったもの」であり、ペヤング「発音が全て英語ベースだが表記が一部ローマ字ベースになったもの」なのである。これはゆめタウン読みではないが、ある意味でゆめタウン読みに対抗する(?)概念が生まれたと考えられる。

かくして、前回記事において「類例が思いつかない」と述べたゆめタウン読みに対して、その概要は酷似しているもののゆめタウン読みとは異なる概念───言うなればペヤング綴り──の概念が生まれたのである。なんだこれ。

※なお現在のまるか食品にはペヤングのサブブランドとして自社パロディ(?)とでも言うべきペヨングが存在しており、これは"Pe"-"Young"をペヨングと読ませており結果としてゆめタウン読みに近くなっている。もうわけがわからんなこれ。