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インターネット

無名サイトのつづき

いまさらコダックデジタル一眼レフを使う - KODAK DCS Professional 14nレビュー

気が付けば丸一ヶ月以上このサイトを放置してしまった。その間に起こった出来事はといえばTC-1を返却して何処かにぽっかりと穴が開いたような感覚があったりとか、そのせいでTC-1の代わりになりそうなカメラを買ってしまったりとか、それとは別に代わりにはならなそうなカメラを買ってついでにレンズも買ったりしてしまったりとか、祖父の遺品を再度掘り返してみたりとか、仕事が忙しかったりとか色々とあった。

色々ありすぎたせいでここはごらんの通りの放置状態だったのだが、あんまりそのままにしておくのも何なので一つ「代わりにはならなそうなカメラ」の話でもしたいと思う。その他のカメラについても時間が出来たら追々書いていくつもりだが。

……と、いったところですでにこの記事のタイトルでネタバレしてるのであるが、2014年にもなってコダックデジタル一眼レフを買ってしまった。

機種としてはDCS Professional 14nというやつで、コダックデジタル一眼レフとしては割と末期の方に属するモデルである。発売は2003年なので、なんとびっくり十年前のデジタル一眼レフというわけだ。

この機種を買った理由であるが、そもそもこのサイトに登場するカメラやレンズの90%は「安かったから」という説明で済まされてるので今回も例によって同じである。もちろん各種の但し書き付きで安いという話であり、このカメラの場合はニコンFマウントで1000万画素オーバーのフルサイズかつローパスレスCMOS搭載機」という2014年現在でも、いやむしろ2014年だからこそ輝く魅惑のスペックに強く惹かれたという点が大きい。ちなみに購入価格は現在の初代5Dの中古相場よりちょっと安いくらいであった。これが実際高いか安いかは個々の判断にもよると思うが、元値(60万くらいらしい)を考えれば間違いなく格安である。

そしてここからどうしようもない、いつもの狂想曲が始まる。

届いたはいいが、レンズはAi-s 135/2しかない。まぁ古いレンズではあるが、その素晴らしさは確認済みなので相手にとって不足なし……と思って取り付けて覗いたところで初めて問題に気が付いた。露出計が効かないのである。

そう、ニコン製のAF一眼レフは中級機を境にMFレンズでは露出計が効かない。これは現在のデジタル一眼レフでもそうなのでわりと有名な話であるが、逆に言うと上位機であればほとんどのMFレンズで露出計ありのメータードマニュアルで使う事が出来る。なので、曲がりなりにも発売当時はプロフェッショナル仕様のカメラだった14nならば特に問題もないだろうと深く調べずに買ったのだが、このカメラはベースボディがF80ということもあり、なんとMFレンズでの露出計使用不可だったのである。F80って型番的に中級機じゃないのかよクソが。

ここで考えつく選択肢は二つ。一つは毎回テストカットを切って再生して露出を調整する方法。もう一つはAFレンズを買ってくればそれで済むという話。当初は前者で乗り切るつもりだったのだが、2003年発売という時代なりの粗くて白っぽいモニタを見ているうちにだんだん自信がなくなってきた。結局レンズを買ってくる羽目になったのだが、F2(現在は知り合いに貸し出し中)が戻ってきた時の事を考えると、絞りリングなしのAFレンズは14n専用になってしまい具合が悪い。そうすると、選択は絞りリングのある古いAFレンズということになってしまう。

この辺りにもいろいろと葛藤とかどのレンズ買うかという話があったのが、最終的には一番安かったAF50/1.8Dを買ってきた。流石にAFニッコールで1万円以下という予算では選択肢など皆無に等しいが、運良く1万円以下で買ってくることが出来た。

これでようやく撮影に行けるようになったので、色々撮ってきた。

DCS 14n 作例

実際はこのあと、さらにレンズ買ったりしたので50/1.8以外の作例も混じっているがそれは後のお楽しみということで詳しくは触れずにおく。

さて、こんなカメラを2014年に使おうという人もそうそういないだろうが、簡単に使用感なんかを書いておく。

最初に言っておくと、現在のこのカメラの価値というのは、フルサイズだけど(今となっては)安いということと、コダックという名前にロマンを感じられるかで9割9分決まってしまう。それらに魅力を感じないのであれば、悪いことは言わないからニコンのカメラを買った方がいいし、ひねくれ者の選択としてもまだFinePix S5の方をオススメする。

まず見ただけでわかるのは、ぼってりとしたボディである。主要コンポーネントは(これの前機種にあたるDCS760ではF5だったのに)F80から流用なので、いまいち洗練されてないボディなのは仕方が無い。ちなみにシルエットはF80だが元機種のプラ外装に対してマグネシウムで作り直されており、触ると流石にプロフェッショナルという名前の所以を感じる。どうせ作り直すんならデザインもやり直せよというのは野暮というものであろう。

というわけで、機械的には中級機といったところであるが、そもそも同時代のニコンデジタル機であるD1系やD100もどこかフィルム機の匂いが漂うボディであり、わりと似たような物であった。当時のデジタル一眼レフというのは未だにフィルム機のサブセットだったのだ。

操作性について言えば、撮影における基本的なところは当時のニコン機同等なのでどうにでもなるのだが、メニューや再生周りが非常に取っつきづらい。動きもかなりもっさりとしたものなので、ここを諦められるかがこのカメラとつきあう上で一つのキーになると思う。個人的にはRAW撮り専用としてアフタービューは見ないくらいの気持ちで撮影しており、この辺りもある意味フィルム機風である。ちなみにLightroomで現像出来るので現在においても取り回しは比較的良好である。まぁ使った感じについては長くなるのでそのうち別に項を立てて書いてみたい。

あと、このカメラの最大の弱点は電池持ちの悪さである。まずACアダプタ兼用のチャージャーがデカい。最近のコンパクトデジカメの箱より大きいといえば伝わるだろうか。ちなみに馬鹿でかい割に充電速度は普通だし、一本ずつしか充電出来ない。

もちろんそこに刺さる充電池も馬鹿でかい。デジタル一眼レフで一般的ないわゆるカマボコ型を二つ繋げたようなサイズで、購入時にはこれが三本付いてきた(純正2、互換1)。当然こういう機種でハードに使われていたことは想像が付くので、へたりも想像の範囲内であるが、しかしこの3本のバッテリーを総動員しても実際200枚も撮れば打ち止めである。知人のDP3mがバッテリー一個で40枚しか撮れないことを知った時は他人事と思いゲラゲラ笑っていたものだが、まさか自分の身に降りかかろうとは思っていなかった。幸いにしてまだ互換バッテリーは手に入るようなので、今のうちに確保するのも手かと考えている。

バッテリーの問題は無視したとしても、今度は感度の問題が立ちふさがる。このカメラ、ISOオートなどという救済措置は用意されていないのだが、使っていればすぐにその理由は納得出来る。最低感度以外使いようがないのだ。たとえば先ほどの作例で東京駅をテラスから撮った物があるが、ISO400でこのノイズである。どうせいっちゅうねん。

つまりこのカメラ、出自から考えれば当たり前だが、電源と光源が用意出来るところ向け──つまりスタジオ用の──カメラなのである。とはいえ、単なるアマチュアとしてはスタジオ撮りは一切しないので容赦なく外に持ち出している。まぁ、元々レビューが多いとは言えない機種なのでこういう使い方について書いておく価値もあるだろう。

あとコダックといえば一部の人に熱烈に支持されているコダックブルーだが、この機種は今言われている狭義のコダックブルー(オリンパスボディ+コダックCCD)を期待して買うものではない。なんせボディはコダックで撮像素子もコダックだが14nはCMOSである。実際の発色については先ほどの作例で確認して欲しい。 

というわけで画質についてだが、これは最低感度でたっぷり光を吸わせればなんら現代のカメラに見劣りしないと感じている。もちろんこの条件下でよく写らないカメラなんてカメラやめちまえという感じではあるが、ノスタルジーだけで使うカメラではないというのは分かって頂けると思う。ただし、高感度ノイズは先ほど述べた通りだし、正直電線とか撮るとパープルフリンジが強烈である。そこも含めて使いこなすのが作法と言えよう。

うちにある唯一のFマウントデジタル一眼レフなので、αマウントが滅びた時の保険の意味も兼ねてFマウントでいろいろ遊べそうだし、いかにもひねくれ者の選択らしくていいと思うのだがどうだろうか。

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