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無名サイトのつづき

レンズについて[第10回] : MINOLTA AF ZOOM 17-35mm F3.5 G

レンズについてシリーズ

前回が標準ズームの話だったから……というわけでもないが、今回取り上げるのは、前回同様ミノルタ時代の高級レンズシリーズであったGレンズの広角側を担うレンズ、AF ZOOM 17-35mm F3.5 Gである。

このレンズ、ポジション的にはいわゆる大三元レンズの一角を担うレンズなのだが、開放値はF3.5に抑えられている。なんでも、設計者がF2.8での描写に納得が出来なかったのでこの開放値に落ち着いた……という逸話があるそうだ。結果としてこの半段のおかげ(?)で広角の高級ズームとしては比較的小型で軽量という特徴がある。その他のスペックについてはいつものところを参照のこと。

実際、ソニー時代になってからの同等ポジションのレンズとしてはVario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSMが挙げられるが、広角側1mmの広さと半段の明るさの代償として、重さは約1.5倍近く増えているのである。(17-35G:600g 16-35ZA:860g いずれもカタログ値) 故に、αマウントの広角として、今敢えて17-35Gを選ぶというのも選択肢としては大いにアリだろう。

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α900 + AF ZOOM 17-35mm F3.5 G

ミノルタ(コニカミノルタ)時代の広角レンズとしては、他にAF ZOOM 20-35mm F3.5-4.5とAF ZOOM 17-35mm F2.8-4 (D)が存在し、直接スペックが競合するのは後者であるが、このズームはコニカミノルタになってからα-7 Digitalと同時に発表され、APS-Cサイズのデジタル一眼レフに不足する広角側を補う為に登場したようなレンズなので、実際に併売されていた期間は非常に短く、また例によって某社によく似たスペックのズームレンズが存在している(いた)。

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外見は当時のGズームレンズに準じたもので、金属製鏡筒を持ち、Gレンズを表す金のラインが入っている。鏡筒にはフォーカスホールドボタンが装備されており、ズームにより鏡筒は伸び縮みしないが、前玉は鏡筒内で前後するいわゆるプロテクター鏡筒タイプである。

ミノルタロゴの入った金属製フードが付属しており、写真には写っていないがレンズキャップも専用デザインである。こうした専用フード&キャップはGレンズでも他に類を見ないので、このレンズに対する力の入れようを感じるところである。

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なお、レンズキャップの径自体は77mmで昔ながらの外側につまみのあるキャップなので、フードを正位置で使用していると付け外しが非常に難しい。このため、現在は使い勝手の面からソニー製の内つまみタイプに交換して使っている。一応現在は絶版のGレンズロゴ入りを使っているのは密かなこだわりである。また、広角ズームなので仕方のないところではあるが、薄枠でないフィルターを使用すると蹴られることがある。現在はハクバの薄枠フィルターを使っているが、これは蹴られていないようだ。

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AF28-70Gの反省(?)が存分に活かされているのか、このレンズについてはAFの速度は爆速ではないもののそこそこ軽快、比較的小型軽量、最短撮影距離も単焦点並の全域0.3mと使い勝手の面でストレスを感じることは少ない。そこそこの幅が確保されたピントリングを見るとフォーカスクラッチくらいは欲しかったところだが、実際にミノルタのレンズにフォーカスクラッチが採用されたのはAF85/1.4(D)やAF100/2.8macro(D)の時代であることを考えると仕方ないのかもしれない。

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作例はいつものFlickrにて公開である。気が付いたら遠景が多かったが、先に述べた通りきちんと寄れるのでそういった使い方でもあまり不満は出ないと思われる。

描写については広角レンズで気になる歪曲収差が少なく、抑え気味の開放F値から開放からでも安心して使えるという印象である。フルサイズながらワイド端10mm台前半のズームレンズが多数登場している今となっては、17-35mmというズーム域は凡庸なものであるが、それでも20mm以下でのパースペクティブは広角ならではのものと言えよう。流石にカットによっては周囲が流れるが、解像度の低下はなだらかなのであまり不自然には感じない。

いずれ書こうと思っているが、別の広角レンズで撮影した際に感じた特定の色が強いなどといった傾向もなく、発色は他のミノルタのレンズと同様にナチュラルめの印象である。

私事になるが、このレンズは今は亡き大阪の某店から中古で購入した。当初はこのレンズを買うつもりはなく、その店からは通販でAF80-200/2.8(Gではなく初代の黒鏡筒モデル)を購入したのだが、このレンズの初陣として旅行に持っていったら絞りが粘ってしまっており、ドオーバーを連発してしまい返品することになった。そして、その代わりに購入したのがこの17-35Gだったのだ。

※17-35Gの話からは一時脱線するが、どうもこの80-200/2.8というスペックのレンズとはあまり相性が良くないようで、何度か痛い目を見ている。最初にこのクラスのレンズを購入したのはKマウント用のTokina AT-X 80-200mm F2.8だったのだが、これは購入後に落下品だったことが判明しAF不良から保証修理→売却と相成った。次に買ったのは茨城のHOで見かけたAマウント用SIGMAのAF 70-210mm F2.8(ZEN塗装モデル)だったのが、これは当初快調だったのだが旅行に持ち出した段になって突如カメラエラー(SIGMAではよくあること)が発生し、たまたま旅行先も茨城だったので旅程を変更して文句言いに行ってそのまま返品になった。三本目が先ほどの80-200mmである。なおこれらの経緯の後四本目に手に入れた70-200Gでは目立ったトラブルはない。

閑話休題

その後もこの店にはだいぶお世話になったのだが、最近になって店を畳んでしまった。お世話になった店が消えるのは悲しいものである。

さて、このレンズはGレンズとしてはかなり末期の発売であったことからか、中古であまり値段が落ちていない。値段だけで言うならば16-35ZAと変わらない値段が付いていることすらある。

現行の16-35ZAは大きくて重いし、社外品としてもこのクラスの選択肢は少ないが、先に述べた通りこのレンズの価値はハイエンドのレンズとしてはコンパクトなことにある。その代わりとしての開放F3.5なわけだが、 相対的に手ブレが目立ちにくい広角であり、感度も自在になったデジタル機において、半段暗いというのはそう大きなデメリットにはならないであろう。

いわゆる大三元(F2.8通し)と小三元(F4通し)の両方を揃えられるメーカーならともかく、当時のラインナップはそうではなかったわけだし、このスペックには「広角でそんなにボケ量が必要か?」「そんなに明るさが必要か?」「それらを高画質で叶えるために大きく重くなってもいいのか?」という問いが隠されているようにも思える。

ただ、デジタルカメラでの使用が考えられている設計ではないので、その辺りの限界点については各自の判断で……というところになるであろう。

ここから先は余談になるのだが、とかくカメラのレンズにおいては明るいことが正義であり、明るいレンズ≒高いレンズ≒良いレンズの時代が長く続いた。そしてその信仰は根強く残っており、下手すれば以前よりも一層強化されていると言えるだろう。

しかし、デジタル機においてレンズの肥大化が進んでいるのは周知の通りだし、手ブレ補正などのギミックや特殊硝子の多用もあり、レンズの値段は上がる一方である。それでも明るいレンズには絶大な支持が集まっている。

一方で実用感度はもはや桁が大きすぎてよくわからないところまで進んでもいる。かつての大口径レンズには感度が低いフィルムでも撮影範囲を広げるという大義名分があったとしても、現在ではその意味も既に薄くなっており、もはや明るいレンズというのは単にスペックの為のスペックになっている一面もあるだろう。

そういった意味では、高くてしかも半段暗いこのレンズが投げかけている問いというのは現代でも通用するのではないかと思うのだ。