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インターネット

無名サイトのつづき

なにをいまさらDSC-RX10

私事ではあるが、ゴールデンウィークは友人と九州に行ってきた。

例の地震の直後だったので一時は中止も考えたのだが、もともと(珍しく)宿も飛行機もキッチリと取ってしまった後だったので結局そのまま行くことになり、結果としてその決断は正解だったと胸を張って言える程に楽しんできた。というか、行く先行く先ゴールデンウィークとは思えない人出の少なさでとても快適だった。だが、それはつまりキャンセルをした人も多いということなので、そういう意味では内心複雑だったのも確かである。

で、旅行自体は良かったのだが、最近は旅行に行くたびに持っていくカメラを何にするのかで迷っている。一人旅で写真を最優先しても文句を言われないのであればそれこそ一眼レフでも中判でも何でも持っていくのだが、友人達と一緒であれば写真を最優先にするというのは少し気が引ける。第一重すぎて持ち歩くのが億劫である。

一昨年の北海道旅行の時もそういうことを感じて中古で当時安かったPowerShot G1Xを買う寸前まで行ったのだが、結局α900を持っていくことになり機材の重さに耐えた結果として素晴らしいカットを納めることが出来た。しかしまぁ、北海道は正直別格である。今回はそこまで気合いの入った旅ではない。

というわけで、今回は写りと可搬性のバランスを考えてボディはα900をやめてα7にした。ここまでは良かったのだが、レンズはというとそういえばEマウントどころかAマウントでも便利ズームを持っていなかった。結局24-70/2.8ZAとアダプターという形になり、可搬性の面ではだいぶ課題が残った。

かといってGR一本勝負というのは、それはそれで旅写真のひとつのスタイルとして憧れるが旅先という未知の地平に対し、人間そこまで思い切りよくはなれない。

かくして、さほど必要でもないかもしれないニッチな「旅行用のカメラ」というのが気になり始めた。それなりに画質がよくて、それなりに取り回しがよくて、それなりにズーム出来るカメラが足りていないのだ。逆に言うとそこから取り回しを諦めればα900大三元を持っていくし、ズームを諦めるならGRで済む。どちらもほんの少しの我慢である。そうした小さな我慢をするだけで不要になるかもしれない、そんな程度のニーズだった。

しかしこのニーズ、防湿庫に中判からコンパクトデジカメまで取り揃えている割には確かにエアポケットであった。先述の通りAマウントもEマウントも便利ズームは持っていないし、コンパクトカメラはGRなのでどうしても諦めるものが出てくる。というわけで選択肢はだいたい3つくらいに絞られた。

1.Aマウント用にタムロン 28-300mm F3.5-6.3 Di PZDを買う
2.Eマウント用にソニー FE 24-240mm 3.5-6.3 OSSを買う
3.それなりのズームコンデジを買う

とりあえず価格の順で言えばモノにもよるが3→1→2の順に高価であろうか。ズームコンデジを買うと言ってもやっぱり現行で言えばRX100mk3とかその辺になるんだろうなーとぼんやり考えていたので、その辺で行くとやっぱり最低でも5万くらいは用意しないといけない感じである。さっきも言ったようにニッチな需要なのだが、出す金額としてはなかなかヘビーである。

そんな中、それまでは全くノーマークで「一体これを欲しがるのはどういう層なのだろう」とすら思っていた初代DSC-RX10がmk2へのモデルチェンジでそれなりに安価になっていることに気が付いた。ヨドバシやビックの展示落ちアウトレットで6万円を切っており、出始めの値段からは約半額である。

そして、当初は中途半端に思えたスペックも、よく考えるとそう悪くない。また、通り一遍の新製品レビューではやはり中途半端さを指摘されながらも、購入者のレビューでは不思議と好意的な意見が目に付くのも気になるところだ。しかし、そうであっても6万円は大金である。元々たいした根拠もなく欲しがっているものなのだし、もう少しすれば物欲も自然に収まるだろうと、そう思っていた。

 

……そうしたら突然、展示品落ちながら4万円を切る出物が出てたので、気が付いたら買っていた。

 

  ──うん、「また」なんだ。済まない。
  仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

  でも、この記事タイトルを見たとき、
  君は、きっと言葉では言い表せない
  「またかよ」みたいなものを感じてくれたと思う。

  殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
  そう思って、この記事を書いたんだ。

  じゃあ、本文に戻ろうか。

 

閑話休題

 

それこそ何度も書いているが、このサイトでカメラやレンズが増えるのは全て「安かったから」が理由である。それ以上でもそれ以下でもない。そして今回も、である。

冗談はさておき、一度気になりだしてから考えれば考えるほどこれこそが要求スペックに近いカメラなのではないかという思いが高まっていた。

RX100などに比べて大柄だと思っていたボディは撮像素子サイズとズーム比と明るさを考えれば許容範囲だし、もちろんα7にAマウントレンズよりはマシ。それでいて焦点距離設定は絶妙なラインである。α7に24-70を付けた時も感じていたがテレ端70ではちょっと物足りない。RX100系の70ないし100mm相当ではきっと不満を覚えるだろうことを考えれば、200mm相当は魅力的である。一方テレ端がもっと長いカメラもあるが、当然サイズは大きくなるし、旅行だと400や600mm相当が必須というわけでもない。個人的には旅行スナップ程度の用途で望遠レンズ的な画面効果を使うのなら135~150mm相当もあれば十分ではないかと考えている。

そして元値が元値だけに作りのいい金属ボディだし、しっかりしたグリップとキチンと使えるEVF、絞りリングの他はα7とほとんど変わらない操作インターフェース、そしてストロボや電池がα7と共用出来てUSB充電まで可能と、一つのカメラで旅行を完結させるには最適なスペックだと感じるようになった。もちろん、絶対的なボディサイズはそれなりにあるのでポケットに入らないとイヤだとかそういうことは考えられるが、そんなときはGRを使えばいいだけのことである。

というわけで、最近は外出する時少しでも余裕があればカバンに突っ込むことにしているのだが、今のところ使い込んだと言える程触ってはいない。また、残念ながら泊まりの旅行というのにも行けていない。その上での現時点での感想について書いてみたい。

このカメラに購入前に抱いていた「一体誰をターゲットにしたカメラなのか?」というのは実際に自分が買った今でもたまに感じることがある。先述の通り旅カメラとしての意義は感じるが、かといってそこだけを狙ったカメラというわけでもなく、ある意味でRXシリーズの枠の中ですら立ち位置の説明が難しい機種だと感じる。

究極の一台として取捨選択を経て研ぎ澄まされたRX1系、あるいはメモ用途から一眼レフのスーパーサブまでこなす万能カメラとしてのRX100系に比べると、悪く言えば「何でも出来るがどれも中途半端」なスペックなのだ。そしてそれは、ライバルであるLUMIX FZ1000やPowerShot G3Xに対抗してテレ端600mmを誇る望遠番長、RX10mk3が生まれた時点で余計に強調されてしまった。

だがしかし、それでもこのスペックがウェルバランス──つまり均衡が取れている──状態であるというのも感じる。それを感じるシーンの一つが、先に述べた旅カメラなのである。

話は変わるが、今マツダの販売店で1日試乗キャンペーンというのをやっていて、つい最近有給を使ってND型のロードスターを1日乗り回してきた。以前レンタカーでNB型に少し乗ったことはあるが、ND型はもちろん初めてである。

せっかくのレンタルだし何処に行こうか迷った結果、結局埼玉の山奥に行って峠道を何往復かして遊んできたのだが、その時にもRX10を持っていった。そして車に乗ったりカメラを構えたりしている中で再度「ウェルバランス」というものに思いが至った。

ロードスターも結局のところ(屋根が開くという特殊性はあれど)スペックからすれば必ずしも尖ったところのない車である。まぎれもないスポーツカーだが、わかりやすく500馬力あるとか、300km/h出るとか、そういう車ではない。

しかし、作り手側がバランスを追求したであろうことは少し乗っただけでも理解出来る。少なくとも素人が公道を流すくらいからちょっとハイペースで駆けるくらいまでにおいては大変よく出来た車である。実際のところ絶対的に速い車はもっとあると思うが、いろいろな意味で手を伸ばしさえすれば手の届く範囲の車だと思うし、尖ったスペックで勝負しているわけではないが、十分に魅力的である。

とはいえ、例えば歴代最小排気量のエンジンなんかを指してモアパワーを望む声もあるし、この尖ったスペックのないバランスというのは見方を変えれば「中途半端」とも取られてしまう危険がある。しかし、分かっていてもそうはしていない。

つまり、分かりやすく目を引きやすいスペックがいろいろある中で、敢えてそれらを中途半端に留めてその中でバランスを追うというのは、実は難易度の高い行為なのではないかと思うのである。

RX10というカメラが、果たしてロードスターのようなバランスを突き詰めた末の成果物なのかどうか。それは正直なところ判断を下せるほど使い込んでいないのでまだ分からない。そしてもちろん、旅行用カメラという当初の用途に合致するかどうかもまだまだこれからの結果次第である。

しかし、そうしたバランスに挑む心意気みたいなものは確かに感じたし、だからこそ購入した人からはあまり悪い評判が聞こえてこないのだとも思う。

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