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無名サイトのつづき

不必要な分解能(そしてローカルコーヒー牛乳収集の道)

なんだかんだで、旅行好きなほうだと思う。

少し前なら車があれば何処へでも行けると思っていたし、(主に体力の関係で)そうは思えなくなって久しい現在も、マイルガチャなどのせいで旅行に行く機会自体は減ってはいない。おそらく人並み以上にはいろいろな地方に行った実績があると自負している。

さて、「旅の本質とは何か?」と問うた時、おそらく人によって答えは異なるだろうが、そこに非日常という要素が関係してくるのは多くの人に同意していただけるだろう。普段とは違う場所にいる、知らない場所を初めて訪れる、そうした事実だけでも日常を忘れることが出来るし、気持ちはリフレッシュするものなのである。

とはいえ、この趣味も長いので「初めて訪れる場所」はだんだん減ってきて、一通り行き尽くしてしまった感があるのもまた確かである。もちろん各都道府県で主要な観光地に訪れてしまったらそれで終わりなどと言うつもりもないが、一方で行き先が日本国内である以上、遠くに行ったとしても──非日常を求めたとしても──見える景色は概ね日常の延長線上にあると言って良い。

つまり、海外に行ったときに起きるような劇的なエキゾチックさというのはそこには存在しない。そこにあるのは日本語の看板だし、道行く人もだいたい日本人である。つまり、飛行機に乗って向かうような遠い旅先であっても、行ってみたら実は近所の景色とあんまり変わらない……ということが往々にしてあるのだ。非日常を求めているはずなのに。

そしてこれに拍車を掛けるのが全国何処に行ってもある巨大チェーン店の数々である。2020年現在においては様々な業界において全国チェーンが幅を効かせており、特定地域にしか存在しない地方色豊かなチェーンはそれらに追われて数を減らし続けている。この結果、全国何処の町に行っても似たような看板を眺めて過ごすことになるのである。つまり旅先で感じる「いつもと違う町にいる感」は町中レベルでも薄れてきている。例えばコンビニは一昔前ならローカルチェーンももっと多かったが、現在は日本全国何処へ行っても大体上位三社のどれかが立ち並んでいるのだ。

さて、そんな中でも「いつもと違う町にいる」と感じる為にはどうすれば良いだろうか。答えの一つとしては、地元には無い(手に入らない)ものを探すというのがあるだろう。地元では手に入らないローカルな品物は、それこそがその場所に行った意義になるからである。

しかし、そうは言ってもそんな都合のいい製品があるかというと、実際のところそんなにない。そもそもコンビニやスーパーも全国チェーンが伸しているのだから、そこに並ぶ品物だってだいたいは全国何処でも手に入る大手メーカーの品物である。何処の町にでもあって、でも各地域ごとにローカルな製品が独立を保っている……そんな製品はなかなか存在しない。

……とはいえ、それに近いものは存在する。それが紙パックのコーヒー牛乳である。

その証拠(?)に、以下はこれまでに旅先で買ったコーヒー牛乳を探せる限り掘り出してきたものだ。おそらく実際にはもっと飲んだと思うのだが、ここに貼ってあるだけでも結構な種類があるということは理解していただけると思う。

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で、当ブログはグルメブログではないので特に味についての感想を述べることはしない。というかまぁ、どれもコーヒー牛乳である。牛乳が強いかコーヒーが強いかの傾向はあるにせよ、概ねあの味を思い浮かべてもらえばだいたい正解である。

さて、では何故コーヒー牛乳なのか? である。これはひとえに「牛乳をはじめとした乳製品は鮮度の問題から地産地消傾向が強く、ある程度ローカルブランドが強い」からである。単なる清涼飲料水であれば、それこそ全国何処でもコーラが買えるように圧倒的に全国的知名度のある製品が強い。しかし乳製品であれば、その土地のブランドが強い上に、流通上の問題で一定の地域内では確実に流通している(逆に言うとその土地でしか売っていない)というケースが多々あるのだ。

もちろん、全国レベルで見たときに雪印コーヒーおよびグリコカフェオーレの壁はあまりに厚く、地方のコンビニでもこのどちらか、もしくはこの二つしか置いていないということはよくある(特にナショナルブランド&プライベートブランドで棚を作りたがるセブンイレブンはこの傾向が強い)。しかし、この写真の数からもわかる通り、探せばそれなりにローカルコーヒー牛乳は並んでいるものなのだ。

なので、ことローカルコーヒー牛乳を探す上ではマイナーなコンビニのほか、大手三社の中ではセブンイレブンよりもローソンやファミリーマートの方がお勧めである。セブンイレブンにローカルコーヒー牛乳が売っている確率は経験上かなり少ない。もし立ち寄れるのであれば地元資本のスーパーに立ち寄るのも良いだろう。

なお、似たようなポジションにある(比較的ローカル品が生き残っている)製品ジャンルとしては菓子パンがあるが、こちらは現在のコンビニではたいてい自社ブランドをイチオシにしていることが多いためローカル品に割ける棚の面積は大変少なく、それらをコンビニで見つけるのは至難の業であることが多い。これもどちらかと言えばスーパーの方が狙い目である。

逆に言えば、そのような状況にある中でもしっかりとコンビニの棚に並んでいる製品はその土地のソウルフードレベルで根付いている製品である可能性が高いと言える。

また、これらローカルコーヒー牛乳は多くの場合「乳飲料」であることが多い。なので最後に貼った二つが属する「コーヒー入り清涼飲料」は逆にレアだったりする。定義としては下記の通りで、要するにコーヒーもあまり入ってなければ牛乳(由来の乳脂肪分)もあまり入っていないということになるが、まぁそれに関しては個人の好き好きである。ここではその分類が珍しいということだけを述べるにとどめる。

www.dydo.co.jp

www.glico.com

また、最後の二つはそれ以外にも違いがある。この二つは沖縄に行った時に購入したものなのだが、どちらも473mlや946mlと、形は同じなのに微妙に内容量が少なくなっている。これは実は沖縄だけの出来事である。何故こんなことが起きているのかといえばこれは沖縄がかつてアメリカ領だったころの名残である。946mlは1/4ガロンなのだ。

……とまぁ、実はコーヒー牛乳一つとっても、その土地その土地に応じて実はその表情を様々に変えている。先に「全国どこでも同じような景色」と述べたが、こんなどうでもいい部分の分解能を上げることで、まだまだ違いを感じ取ることは出来ると思うのである。

そしてそれは、おそらくは不必要な分解能の高さだとも思うのだけど。