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無名サイトのつづき

放置車を直す

ここのところ、長いこと放置していた原付を直している。

手元の原付はホンダのXR50モタードというやつで、今となっては絶滅(!)してしまった50ccMT車のほぼ最終世代にあたる。というか調べ直していて50ccMT車はおろか2021年現在では50ccというカテゴリがほぼ絶滅していたことを知った。

上からは二輪免許が必要とはいえ様々な制約が無く維持費も安い原付二種が、下からは電動を含めた小型モビリティやスポーツ自転車が勢力を伸ばしてくる中、もはや50ccというカテゴリは不便なだけの代物ということなのか国内では風前の灯火のようである。趣味性の高いクラッチ付きMT車やスポーツモデルは既に消滅して久しい。

さて、この原付は高校時代から乗っていたCD50Sが色々あって限界を迎えたため大学時代になってから新車で買い直したものだ。余談だが当時はRZ50の生産終了の時期で2st最後の世代ということで本当はそっちが欲しかったのだが、既に在庫車にプレミアが付きつつありそれに比べれば安かったXRに落ち着いたという経緯がある。当時も既に2stが事実上閉め出され50ccの退潮傾向は明らかであったが、それでもバリエーションは今よりも遙かに多かった。

まだ当時はスクーターもスポーツモデルと言えるディオZXやジョグZRが販売されていたし、それらの2stモデルの中古もそれなりに豊富にあった。MT車も複数種類から選べたし、4st化によって一通りのモデルが刷新されたのである意味原付一種にとっては最後の黄金期だったように思える。

そんなわけで、CD50Sが気に入っていたので次もMT車ということでこうなったのだ。が、5,000kmほど乗ったところで大学卒業となって以降は通学の用途もなくなってしまい、10年以上カバーもかけずに家の軒下で放置されることになってしまった。

話は変わるが今年もコミケがなくて盆の予定が空白なことに気付き、また時同じくして横須賀と門司を繋ぐフェリーの就航が開始された。以前からレンタカーではなく自分の車両を持ち込めるフェリー旅に興味はあったものの、自動車を載せてしまうとそれなりの費用がかかり、このご時世に何人も集めるのは困難だし一人では割高で二の足を踏んでいた。しかし原付ならと思い調べてみると考えられなくもない金額。そもそも車と違って陸路で同行程をこなすという選択肢が事実上取れないので、これはアリなんじゃないかと考えた。

というわけでなんとか再度原付を乗れるようにと思ったのだが10年以上の放置で各所は錆び付き機関は不動となっていた。幸い車の整備の為一通り工具は揃えていたので自分で整備とアップデートを行ってみた。

まずタイヤは新車時のもので流石に新品交換するつもりだったのだが、某中古店に行ったら製造年が昨年の中古ハイグリップタイヤが山のように転がっていた。このサイズはミニバイクレースで使われるのでそれ用らしい。レースで使われたので端はともかく真ん中は溝が残っており、今よりマシだろうと思い購入。近所のバイク屋で半セルフ(タイヤ単体にするまではこちらで作業)で交換し、結局前後タイヤ代含めて4,000円以内に収まった。

キャブは念のため分解し、特に問題なかったので組み戻し。その際にキャブ→インマニ間で径を絞っているインシュレーターを交換しエアクリーナーボックス入り口のゴム製インシュレーターも同様にニッパーでちまちま切って径を拡大しておいた。貧乏チューンというやつである。

チェーンは交換のつもりだったのだが購入したものが微妙に長かったため結局古いものの張りを再調整して使用。エンジンオイルはこれも入れっぱなしだった為四輪用のオイルをフラッシング的に使用してその後二輪用を入れ直した。

このあたりで公道復帰は叶ったので、あとはツーリング用にバッテリーレスキットを併用した直流電源の取出しを行い、Amazonで1,300円で売っていた中華電気式タコメーターと同じく1,300円くらいのUSB電源とスマホホルダーを増設した。XR50モタードは元々バッテリーレスで交流電装車なのでこの辺りが面倒だったが、基本は同時期のエイプと同じなので資料が多く助かった。

あとは積載皆無なのでキャリアとバッグを購入し長距離の準備は整った。余談だがここが今回一番カネが掛かってる気がする(キャリア新品15,000円・バッグ中古7,000円)。

ちなみに、これはあくまでも公道復帰でありレストアをやっているという意識は全くなかったのだが、どうも10年以上放置された不動車を動くようにするのは傍目に見ればレストアらしい。言われてみればそうかもしれない。

というわけで久々に原付を弄ってるわけだが、原寸大のオモチャといった感じで面白い。趣味者の理想とも言われる四輪+二輪の六輪生活……そのうち最も貧乏寄りではあるが、これはこれでいいものだ。